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「海のエコラベル」を知って 持続可能な漁業の実現へ

産経新聞 9月15日(木)10時15分配信

 海洋環境に配慮した水産物であることを示す「海のエコラベル」。国際基準の認証マークとして制度発足から今年で20年目となり、8月のリオデジャネイロ五輪では選手村で認証を受けた水産物が提供され、認知度の向上にも一役買った。あまり知られていない日本でも、普及に向けた取り組みが広がりつつある。(服部素子)

 ◆ロンドン五輪から

 「海のエコラベル」は、乱獲による水産資源の枯渇への危機感から、非営利団体「海洋管理協議会(MSC)」(本部・ロンドン)が1997年に制定した国際基準の認証制度。「MSC認証」とも呼ばれる。

 適切な漁獲量や時期、魚の大きさなど水産資源や海洋環境に配慮して水揚げされた水産物に与えられる。審査は漁業の現場だけでなく、水産物の加工・流通の過程でも行われる。消費者がエコラベルの付いた水産物を選ぶことで、海洋保全を間接的に支援できる仕組みだ。現在、世界約100カ国で2万以上の商品に使われている。

 認証を受けた水産物が五輪で使われはじめたのは2012年のロンドン大会。「競技者のため、おいしく、健康的で環境に優しい大会」というビジョンに基づき採用された。

 リオ五輪・パラリンピックでもその理念を継承。認証を受けたアイスランド産のタラやカナダ産のシロザケなど天然・養殖の水産物約70トンが、ブラジルの伝統食「塩ダラコロッケ」などとして提供されている。

 ◆一部スーパー導入

 日本でこの制度はあまり知られていない。MSCが今年1~2月に行った調査(世界21カ国の約1万7千人を対象)では、最も認知度が高かったのはスイスの71%。日本は18%にとどまり、19位だった。

 「日本では、環境に配慮したラベル付きの商品を積極的に選択する購買行動が定着していない」。MSC日本事務所(東京都中央区)の広報担当マネジャー、牧野倫子さんは理由をこう説明する。

 こうした中、認知度の向上に取り組むスーパーなどが出てきている。

 イオングループは昨年11月、「イオンスタイル板橋前野町」(東京都板橋区)の鮮魚売り場に、認証を受けた魚だけを販売する常設コーナー「Fish Baton(フィッシュバトン)」を設置。今年3月には、「イオンモール堺鉄砲町」(堺市)にも開設した。同店の売り場でノルウェー産サーモンを手に取っていた50代の女性は「初めてMSC認証のことを知りました。安全な水産物を孫に食べさせられるので大歓迎」と笑顔を見せた。

 ◆東京でも検討

 東京都では4年後の東京五輪に向け、MSC認証制度への対応を検討中といい、小池百合子知事は8月末の会見で、「持続可能性に配慮することは必要」と述べている。

 東京五輪で制度が採用されれば、日本で持続可能な漁に取り組む漁業者を、世界にアピールするチャンスにもつながる。

 MSCアジア太平洋ディレクター、パトリック・カレオさんは期待を込め、「未来につながる取り組みにぜひ参加してほしい」と話している。

 ■日本版は19年から

 MSCと同じ理念を、日本の漁業の実態に反映させた独自の認証制度「マリン・エコラベル・ジャパン」も、平成19年にスタートしている。

 MSC認証を受けているのは、単一魚種を対象とする大規模な漁業が多い。だが日本の漁業は小規模で魚種も多岐にわたるため、日本の実態に合わせた制度を作った。十三湖しじみ漁業(青森県)、愛知県いかなご船びき網漁業(愛知県)など24漁業を認証している。

最終更新:9月15日(木)10時15分

産経新聞