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米家計所得が9年ぶり上昇 トランプ氏の批判くつがえす? クリントン氏に追い風か

産経新聞 9月14日(水)11時39分配信

 【ワシントン=小雲規生】米国勢調査局は13日、2015年の実質家計所得(中央値)が前年比5・2%増の5万6516ドル(約580万円)となり、過去最大の伸び率だったと発表した。家計所得が上昇したのは2007年以来8年ぶり。

 共和党のドナルド・トランプ候補は大統領選に向けた論戦のなかで所得の低迷をオバマ政権の失策として批判していただけに、民主党のヒラリー・クリントン候補にとっては追い風となる数字といえそうだ。

 所得の伸びは米国経済が堅調な成長を続けてきたことや、企業による賃金引き上げの動きが出ていることが影響したとみられる。15年は貧困率も1・2ポイント低下し、13・5%となった。低下幅は1968年以来の大きさだった。

 また15年の医療保険の未加入者の数は2896万6千人で、前年より約400万人減少した。医療保険制度改革(オバマケア)で2014年1月から個人に対する医療保険加入が始まったことで、無保険者数の減少が続いている。

 トランプ氏はこれまでの論戦でオバマ政権は家計所得を引き上げることができなかったと批判し、「所得を上昇させてみせる」と訴えてきた。今回の数字はオバマ政権の実績を示すもので、トランプ氏はオバマ政権の継承を打ち出すクリントン氏への攻撃材料をひとつ失ったかたちだ。

 オバマ大統領は13日、ペンシルベニア州で行われた療養中のクリントン氏の政治集会での演説で家計所得の上昇などをとりあげ、「共和党はいいニュースは聞きたくないかもしれないが、これは重要な数字だ」と述べた。

 ただし家計所得の水準は金融危機前の07年よりは低い数字で、「金融危機によるダメージを完全に回復したわけではない」(米紙ワシントン・ポスト)との指摘もある。また足下の米国経済は成長率の鈍化も目立っており、今後の家計所得がどのように推移するかは不透明さも残る。

 トランプ氏は13日、アイオワ州での演説で「クリントン氏が関わったものはすべて大惨事となる。学校の崩壊や犯罪の増加、雇用喪失、所得の減少、家庭での悲劇的な貧困を生み出すだけだ」と述べ、オバマ・クリントン路線への攻撃を続けている。

最終更新:9月14日(水)11時39分

産経新聞