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異例の台風連続上陸に長雨 “見えない被害”じわり ジャガイモ腐り 小麦まけず 北海道池田町

日本農業新聞 9月14日(水)7時0分配信

 相次ぐ台風の上陸と10号による長雨で、甚大な被害を受けた北海道十勝地方で“見えない被害”がじわり広がっている。JA十勝池田町管内では、ジャガイモが土の中で腐敗し、収穫を断念せざるを得ない状況が出てきた。ぬかるんだ圃場(ほじょう)に農機が入れず、収穫は例年の1割程度しか進まない。ジャガイモの後はすぐに秋まき小麦の播種(はしゅ)を控えるが、作業は遅れ、来年の収量にも響きそうだ。

 池田町の畑作農家、宮前裕治さん(49)の圃場では、畝が崩れジャガイモがむき出しになり、日に当たって緑に変色していた。14ヘクタールのほぼ全てが畝の上まで水に漬かった。芋は、台風後の長雨の影響で土壌中の水が抜けず、腐ってしまった。

 例年、この時期は半分以上の圃場でジャガイモ収穫が終わっている。だが今年はいまだに1割しか収穫ができていない。収穫できたとしても芋は腐敗し、出荷できるのは半分以下に落ち込む見通しだ。

 「これまでにない被害。収入が減った分を穴埋めするのに、あと何年かかるだろう」と宮前さん。

 輪作体系の一環でジャガイモの後に秋まき小麦を計40ヘクタールを播種する計画だが、台風10号から2週間たつ今も土壌中の水分量が多過ぎて、小麦をまける状態にないという。「来年に向けて、気持ちを切り替えなければ。早く元の輪作体系に戻したい」。宮前さんは収穫できないジャガイモを畑にすき込み、排水路を整備し、小麦をまく準備を進める。

 畑の水が抜けず小麦を9月中にまけなければ成長が遅れ、「来年夏の収量に影響が出る」とJA営農課は心配する。JAによると、管内では全耕作面積の2割に当たる940ヘクタールが水に漬かり作物が倒伏。土中で腐るジャガイモだけでなく、収穫前の豆類がさやの中で発芽したり小麦の播種が遅れたりと、見た目では分からない影響が出ている。

 JAの鈴木雅博組合長は「長雨や台風で農家は資金不足に陥っている。かつてない事態だ」と危機感を抱き、「農家がこの先、営農意欲をなくさないよう、JAとして年末までに資金対策を打ち出したい」と強調する。

 道内で長雨や台風の影響で被害を受けたのは清水町や芽室町、新得町に加え、池田町など十勝地方全体に広がる。道農政部によると十勝の被害面積は8881ヘクタールに及び、道全体の7割に上る。(隅内曜子)

日本農業新聞

最終更新:9月14日(水)7時0分

日本農業新聞