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【相模原殺傷事件】「優生思想の否定を」 障害者団体や学会が訴え

福祉新聞 9月14日(水)10時4分配信

 神奈川県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で7月26日未明に起きた殺傷事件をめぐる再発防止の議論に対し、学会や障害者が声を上げている。日本精神神経学会の法委員会は8月29日、精神医療が保安の道具として強化されることへの危惧を表明した。また、精神障害などの当事者団体は同31日、厚生労働省で記者会見し、容疑者の措置入院歴ではなく優生思想に着目して再発防止を議論するよう訴えた。学会と障害者団体が足並みをそろえた格好だ。

 事件をめぐっては、同施設元職員の植松聖容疑者が今年2月に措置入院し約2週間後に退院したこと、重度障害者を冒とくする供述を繰り返していることが事件後の警察発表で分かっている。

 これらを踏まえて厚生労働省は8月10日に精神科医らをメンバーとした検討チームで議論を開始。措置入院解除後のフォローを主な論点とし、今秋に再発防止策をまとめることとしている。

 こうした動向を踏まえ、同学会法委員会は「精神保健福祉法が患者管理の法律として再強化され、精神医療が特殊な医療へと逆戻りすること、精神障害者差別が助長されることは許されない。今回の事件が措置入院制度の不備で起きたと断ずることはできない」とけん制した。

 措置入院患者の退院後の支援体制が不十分だとされる点については「異論はない」としたが、退院後の強制通院制度導入を提起する意見には「断固反対する」とした。

 31日の記者会見には全国「精神病」者集団、DPI日本会議など障害当事者団体の関係者が出席し、「今回の事件は容疑者の優生思想に基づくものだ。その思想を否定しないと同様の事件が起こる」と警告した。

 また、再発防止策として厚労省が措置入院解除後のことを議論している点については「精神障害者が危険だとアピールすることになる」と批判した。一行は会見後に厚労省前でビラを配り、こうした主張を訴えた。

 なお、知的障害者で構成する「ピープルファースト」は9月21日午後1時から、横浜市の大桟橋ホールで開く大会で事件の犠牲者を追悼する。犠牲者が匿名とされていること、同施設が山奥にあることなどを話し合う。問い合わせはピープルファースト横浜(電話045・382・3055FAX370・3340)へ。


 【ビラ配りに参加した人の話】

 ◆都内在住の40代男性(統合失調症)
 普段は月に1回の通院だが、事件後は誰かが刃物で襲ってくるのではないかと怖くなり、2週間ほど毎日通院した。恐怖のあまり、持っていた傘を待合室で振り回しながら「誰か止めてくれ」と叫んだ。私に「入院が必要なのではないか」と言う医者もいたが、主治医が「入院の必要はない」と言ってくれた。今回の事件によって精神障害者を悪く見ないでほしい。

 ◆都内在住の50代女性(統合失調症)
 事件を知った日の夜からは眠剤を飲まないと眠れなくなった。恐怖心から調子を崩す人は私の周りで多い。近年、知的障害者と一緒に活動できるようになってきたのに、この事件を機に精神障害者が加害者側、知的障害者が被害者側と分断されかねないことが残念だ。そう思ってしまう自分にも嫌悪感を抱く。政府は本気で障害者差別解消に取り組んでほしい。

最終更新:9月14日(水)10時4分

福祉新聞

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