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禁固56年の一審判決下る=焼津母子3人殺人事件公判=「やくざに脅されて殺した」

ニッケイ新聞 9/14(水) 23:20配信

静岡県焼津市で2006年12月、交際相手の日系伯人女性とその子供2人の首を絞めて殺害して帰伯逃亡したと当地で起訴され、聖市ピニェイロスに勾留されているエジウソン・ドニゼッテ・ネーヴェス被告(53)の陪審裁判が9日午後、聖市バーラ・フンダ区の刑事裁判所で行われた。公判は10時間以上にわたって行われ、一審判決として56年9カ月10日の禁固刑が下された。しかし、既に被告は控訴の意向を示している。

 「やくざに脅されて殺した」――裁判官に起訴内容について問われた被告は、そう主張した。3人殺害を認めたが、「自分の意思ではない」との主張を新たに始めた。
 聖州バストス市出身のネーヴェス被告は90年、日系人妻と訪日。焼津市内の水産加工工場で働いたが、2年後に妻と別れ、日本人女性と10年ほど結婚生活を送った。
 工場労働の傍ら、ブラジルのテレビ番組を録画したビデオテープを伯人同胞に貸す商売を始めた。被害者ソニアさんと恋仲になったのは、日本人妻と別れた後の05年頃。ソニアさんはその頃、既に夫との関係は破綻していたという。
 帰国の数年前から、被告はブラジル人相手の高利貸し業を始め、貸した金の総額は32万ドル以上になった。
 被告供述によれば、06年10月に日本人や金を貸していたブラジル人数人が「金を寄越せ」と被告を脅す事件が連続して起きた。被告を脅迫した伯人の一人は、ソニアさんのパトロンだったという。「自分を脅迫した奴らは、私の仕事のことをよく知っていた。だから彼女に不信感を抱いた。脅迫電話もかかるようになり、家に一人で帰るのが怖く友人宅を泊まり歩いた」と訴えた。
 被告はソニアさんに3万ドル以上も貸し、事件の前から関係は冷え切っていたという。事件当日、ソニアさんの次男ヒロユキ君(当時10)にクリスマスプレゼントとして自転車を買い、届けに家に行った。そこにヤクザらしき男3人が押しかけ、被告に「金を出せ」と脅した。そこにソニアさんが加わり、殺すと言って被告をナイフで襲ったという。
 「自分を守ろうとナイフを奪って、男と彼女の上に跨り我を失った」とし、男らに「金が出せないなら一家全員を殺せ」と命じられたと供述した。「言う通りにしなければ自分たちがやって、お前のせいにすると言われた」。まず次男の首を手で絞め、次にロープで絞めた。その後、自分の家に行き、長男を殺せと言われナイフで襲った。
 男らは「一週間後までに金を用意しろ」と言って去っていったという。「殺すつもりはなかった。2日前には既に航空券を買っていた」。その夜は友人宅に泊まり、翌日静岡駅から新幹線で横浜へ行き、帰伯の便に乗ったという。
 「後悔しているか」との弁護士の問いに、「とても。あれで全てを失った」と涙声を出した。

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最終更新:9/14(水) 23:20

ニッケイ新聞