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ライゾマティクス齋藤精一に聞く、伝統文化 × テクノロジーとは?

SENSORS 9月14日(水)20時0分配信

9月14日(水)から国立新美術館にて開催される日本では過去最大規模のダリ展、9月13日に開かれた開会式において伝統芸能の能と最新テクノロジーを組み合わせた「ダリ能」が上演された。今まで見たことのない共創を生み出す上で欠かせない最新テクノロジーを使った映像演出を担当しているライゾマティクス齋藤精一氏に今回の新しい取り組みについてインタビューを行った。

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「ダリ能」は、ダリ展の成功を祈るためにサルバドール・ダリが能役者と扮し、伝統と革新をコンセプトに開会祝福の舞を披露するというもの。日本における伝統と確信の融合を目指し、演能団体「銕仙会」の清水寛二氏、高精度な金属削り出しという画期的な方法で新作の能面を制作する株式会社大槇精機、そして先端デジタルアートを制作する株式会社ライゾマティクスのアーキテクチャーチームRhizomatiks Architectureがコラボレーション。今までにないパフォーマンスを生み出した。

■“変えないために変えていく“という動き

--「ダリ能」の映像コンセプトについて教えていただけますか?

齋藤: そもそも能は歴史上のスターが「霊」として能楽師に乗り移って舞うというコンセプトなんだそうです。自分がそれを理解していなかったので、まず能の基礎を勉強しました。 能に映像で参加するということですが、10年ほど前まで能は日本伝統芸能として敷居をまたいではいけない場所だった。それが、今の時代になり、もっと伝統芸能を理解して欲しい、“変えないために変えていく“という動きがいろいろ出てきています。その動きの中で今回のプロジェクトは僕の中では壮大な実験の最初の一歩と考えています。正直どこまで出来るのか?というのはまだ僕の中で基軸ができていないので分からないですが、単純に映像を使うことで安易に能を分かり易くするための表現ではなく、もう一つ新たなパラメーターを追加する。ということが今回僕を含めた映像チームのコンセプトになっています。

--今回ダリ能のために詞章(能の歌詞)が書き下ろされましたが、詞章の意味をオーディエンスが想像するような映像作りもされているのでしょうか?

齋藤: 今回の詞章でいうとそこには実は映像はつけていません。詞章を想像出来るような映像というのは先ほどの分かり易くするというパラメーターになると思うので、やはりそうではなくもう一段複雑にするパラメーターの役割が今回の映像だと思っています。ダリの作品のように譜の意味も人によって捉え方が異なると思っているので、イメージに引っ張られてしまうような映像表現はつけていません。

--今回の映像でこだわりポイントを教えていただけますか?

齋藤: 個人的には「能」と「ダリ」と「映像」のこれまでにない新しい融合のカタチとして取り入れたかったこととして、能楽師が舞っている背景にダリの絵が投影してみたかった。そこで、十数枚のダリの絵を実際に背景に投影することにしました。自分でも仕上がりは楽しみです。

--ダリの魂が乗り移っている能楽師が舞う中で自身が描いた作品が映し出されるという、なんとも言えないカオスな場面ですね...

齋藤: そうですね、自分が見てみたいと思った空間を今回作り出していますね。

--今回、伝統芸能とテクノロジーの融合させる中で一番苦労されたことはありますか?

齋藤: 実は特に無いんですよ。 ただ、伝統芸能のことを僕なりにきちんと理解した上で表現したいと思っています。そこは最低限のエチケットなのかなって思っています。僕も今回のそのエチケットが出来ているといいですが(笑)。

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最終更新:9月21日(水)14時38分

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