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【伊調選手・国民栄誉賞】見守り育てた家族、恩師 八戸への帰郷心待ち

デーリー東北新聞社 9月14日(水)11時40分配信

 伊調馨選手(32)=八戸市出身、ALSOK=の国民栄誉賞受賞が決まった13日、父春行さん(65)、姉千春さん(34)と八戸クラブ時代から指導する青森県レスリング協会の澤内和興会長(69)が市内で会見した。伊調選手を幼少から間近で見守り続けてきた3人。本人へのねぎらいと周囲への感謝を口にした。

 千春さんが伊調選手に掛けたい言葉は「良かったね」。2014年に急逝した母トシさんが、試合で勝った時に笑顔で言う言葉だ。「きっと今も、馨の近くで『良かったね』と言っているはず」と笑った。

 アテネ、北京五輪銀メダリストとして、妹が抱えていた「五輪4連覇」の重圧にも思いをはせた。応援に駆け付けたリオデジャネイロ五輪。決勝の前に再会した際、伊調選手は笑顔が少なく、別れ際には珍しく伊調選手の方から手を差し出してきた。千春さんが握り返すと、現地は暑いのに、伊調選手の手は冷たかった。その時、重圧の大きさが分かったという。帰国後も多忙な妹を「けがが多いから、まずは体を休めてほしい」と気遣った。

 春行さんは「長年にわたってお世話になった方、応援してもらった方のおかげで(国民栄誉賞を)頂けた。皆さんへの感謝の気持ちが大きい。言葉が見つからない」と話した。どうやって育てたか―との問いには「ごく普通。勝っても負けても怒らなかったのが良かったのかな」とはにかみ、「いつの間にかレスリングは伊調家にとって、なくてはならないものになった」としみじみと語った。

 伊調選手は3歳で競技に出会った。澤内会長は「厳しい練習にも苦しい顔をしない。自分のペースでやる子」と振り返る。競技実績のみならず、広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えた証しを贈られる教え子に、澤内会長は「どこへ出しても恥ずかしくない選手」と太鼓判を押し、「出会って約30年。偉大な選手にずっと携われることは幸せ」と話した。

 伊調選手は今月下旬、五輪後初めて里帰りする予定。春行さんは「何を食べたいと言うだろうな。食べたいものを作ってやろう」と帰郷を心待ちにした。

デーリー東北新聞社

最終更新:9月14日(水)11時40分

デーリー東北新聞社