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ルネサスCEOが会見で語った強気の買収宣言は本当か

ニュースイッチ 9月14日(水)9時0分配信

「早期にシナジーを見込め、買収価格は十分に正当化できる」(呉氏)

  これまで構造改革を続けてきたルネサスエレクトロニクスが、成長路線に舵を切る。第一歩として米アナログ半導体大手、インターシルの買収を決めた。低消費電力に欠かせない電力制御に加え、これまで手薄だった通信向けやセンサーなどのアナログ半導体分野を補完。成長領域に掲げる車載や産業、IoT(モノのインターネット)を下支える技術分野を強化する。買収の成否はルネサスの将来を占う試金石となる。

 「打つべき手は打てた。成長にシフトする」。呉文精社長兼最高経営責任者(CEO)が軸とする成長戦略は明確だ。圧倒的強みを持つ技術や製品をオセロゲームの「隅石」に例え、ここに集中投資してシェアを拡大する。セキュリティーや機能安全、電力制御などの駆動技術がその対象だ。

 当面の課題は、現在3位の車載半導体市場でのシェアの巻き返し。トップシェアを抱える車載制御マイコンや車載情報システムでシェアをさらに伸ばし、自動運転分野での存在感を高める。

 ただ自動車分野は製品開発から利益が出るまでに5―6年と時間がかかる。そこで強化するのが、産業向けなど比較的短期で投資回収できる分野だ。スマートファクトリーやスマートホーム、スマートグリッドを注力分野とし、同市場でのトップシェア維持を図る。

<アナログ強化へ時間を買う>

 制御用マイコンを手がけるルネサスにとって、これらを横断的に下支える基盤となるアナログ半導体の強化は成長戦略に向けた優先課題だった。ただアナログ技術の育成には時間を要する。

 選んだ手段がM&A(合併・買収)だ。インターシルの買収について昨年秋頃から話し合いを開始。今回の合意に至った。買収額の43・9%のプレミアムは高すぎに映るが、柴田英利執行役常務兼最高財務責任者(CFO)は「早期にシナジーを見込め、買収価格は十分に正当化できる」と断言。呉社長兼CEOも「良いサクセスケースになった」と評価する。

 半導体業界では合従連衡が活発化しており、M&Aは成長戦略に不可欠な手段になりつつある。呉社長兼CEOは「自ら(M&A対象となる企業の)リストを持ち、積極的に声をかけたい」とさらなる買収に意欲をみせる。

 そのためには今回の買収で相乗効果をみせることが不可欠だ。「まずは今回の買収を成功させてシナジーを出す事に専念する」(呉社長兼CEO)。

 11月には中期経営計画を公表する見通しだ。買収を成功へ導けるか。再成長への道を踏み出したルネサスの真価が問われそうだ。

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最終更新:9月14日(水)9時0分

ニュースイッチ