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とちおとめ超す糖度…新イチゴ、県が19年ぶり開発 病気に強く期待

埼玉新聞 9/14(水) 10:30配信

 埼玉県農業技術研究センター(熊谷市)は19年ぶりに新たなイチゴ2品種を開発した。ともに、広く流通している「とちおとめ」(栃木産)を上回る糖度。イチゴのおいしさを決定づける糖度と酸度のバランスが取れた味に仕上がったという。県産イチゴのブランド化に向け、県は品種登録を農林水産省に出願中。今年から観光農園などで試験的に苗を栽培し、生産者への普及を目指す。併せて2品種の愛称も検討する。

 センターによると、品種開発は2008年から交配を始め、8年をかけて完成させた。県内のイチゴは観光農園での直売、摘み取りが多いため、味にこだわるとともに、病気に強い品種にしたという。

 1品種目(埼園い1号)は、糖度と酸度がともに高い「ふくあや香」(福島産)と、酸度が高めの「ゆめのか」(愛知産)を掛け合わせた。広く流通する「とちおとめ」が糖度10・5度、酸度0・59度(以下14年の調査平均値)なのに対し、糖度は12・3度、酸度は0・72度あり、甘さと酸っぱさの両方が強い。

 センターは「鮮烈な印象の味。実の皮の部分が硬いため、食感に張りがあり、崩れにくいので輸送にも向いている。イチゴ特有の病気にも強い」と話す。ただ花の咲く時期が比較的遅く、本格的な収穫は年明けからになるため、クリスマスケーキの時期には間に合わないという。

 2品種目(埼園い3号)は、「やよいひめ」(群馬産)と、糖度が高く酸度が低い「ふくはる香」(福島産)の掛け合わせ。糖度が11・4度と高く、酸度が抑えられているため、子どもでも食べやすい甘い品種になったという。

 余分な芽が出ず実がなりやすいうえ、苗を増やすためのつるが一つの親株からたくさん出るのが特長。栽培する際の作業が少なくて済み、大きな収穫量が見込めるという。

 県農業政策課によると、県産イチゴは1996年に「彩のかおり」を開発したが、現在は一部の地域で栽培するのみ。県産ブランドとして知られる「彩のかがやき」(コメ)や「彩玉」(ナシ)のように、埼玉産の新たなイチゴ品種を作ろうという機運が05年ごろから生産者の中で高まり、品種開発に乗り出した。同課は「観光直売に力を入れ、県産品のイメージアップを図りたい」と期待する。

 県によると、県内のイチゴ収穫量は約3090トンで、全国11位(14年)。県内全域で生産されている。観光農園は秩父地域が24軒で最多。次いで越谷市が9軒と、都市部でも盛んだ。センターはすでに県内の農業団体を通じて農家に2品種の苗を配布しており、9月下旬から試験的な栽培が始まる。ハウスでのイチゴ狩りなどでの反応を見て、苗を増産。来年から生産農家への普及を目指す。

最終更新:9/14(水) 10:30

埼玉新聞