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社説[米軍工事に陸自ヘリ]嘆かわしい従米一辺倒

沖縄タイムス 9月14日(水)11時55分配信

 米軍北部訓練場のヘリパッド建設に伴う資材搬入に13日、陸上自衛隊の大型輸送ヘリが投入された。

 東村高江周辺のヘリパッド建設工事をめぐって、工期の遅れを取り戻したい防衛省は9日から、民間ヘリを使って資材を搬入している。

 今回、自衛隊ヘリの使用に踏み切ったのは、民間ヘリでは運べない大型重機を運搬するためである。なりふり構わずといった対応だ。

 国際平和協力活動やゲリラ攻撃に対応する陸自の精鋭部隊「中央即応集団」のヘリが運んだのは、重機やトラックである。県道70号を横切る形で計6回運搬した。

 ヘリ投入について、稲田朋美防衛相は防衛省設置法4条19号に基づくものだと説明している。

 4条19号は、米軍基地の取得や提供、使用条件の変更、返還に関することなど、同省の所掌事務を記しているだけである。

 この条文のどこをどう読めばヘリ使用が可能になるのか、自衛隊がどんな権限で工事に関わるのか。設置法を都合よく拡大解釈したとしか思えない。

 ヘリ使用は自衛隊法からも疑問が多い。同法第6章が規定する「自衛隊の行動」は、防衛出動、治安出動、警護出動、災害派遣などである。

 県内に根強い反対のある米軍施設建設に自衛隊ヘリを使うのは、県民感情を逆なでするもので、配慮を欠く強引なやり方だ。

 住民の生活道路である県道を、重機などをぶら下げた大型ヘリが横切るのも極めて危険である。

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 稲田氏は「沖縄の負担軽減にとって有益で返還に伴う措置」と強調する。

 ヘリパッドの移設工事が北部訓練場約7500ヘクタールの過半返還の条件になっているのは確かだが、高江周辺ではヘリパッド建設によって確実に負担が増す。 

 実際、高江の集落を取り囲むように計画された6カ所のヘリパッドのうち2カ所が完成し、オスプレイの飛行訓練が始まった。騒音被害などが懸念される。

 防衛省が工事を急ぐのは、残りの4カ所の工事を促す米軍との約束を履行するためだ。住民の懸念には向き合わないのに、米軍の要求に応えようと必死である。

 高江問題は、米軍と自衛隊が一緒になって、沖縄住民に対峙(たいじ)するという、あってはならない構図を浮かび上がらせている。

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 ヘリパッド建設は、参院選が終わるやいなや、選挙結果を顧みず再開された。

 司法手続きをへないで市民のテントを撤去したり、周辺道路で検問を実施したり、力ずくの警備も目立つ。

 全国から約500人の機動隊を動員した上、民間ヘリを使い、ついには自衛隊ヘリまで投入。

 米海兵隊は「戦略展望2025」の中で、北部訓練場の部分返還について「使えない土地を返す代わりに、利用可能な訓練場を新たに開発」と米側の利点を強調している。

 負担軽減の名の下に基地の機能強化が進んでいる。

最終更新:9月14日(水)11時55分

沖縄タイムス