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空売りヘッジファンドが頼る新進気鋭の日本人-辛辣な指摘で存在感

Bloomberg 9月14日(水)7時59分配信

物言う空売り投資家が日本株式市場に参入する中で、これまで無名だった地元アナリストが空売りで最も影響力を持ち得る人物として存在感を示しつつある。

荒井裕樹氏のことだ。初めて空売りリポートを書いたのは約9カ月前だが、同氏が標的とする銘柄の取引は成功が続いてきた。これら3銘柄の株価は同氏が発起人の調査会社ウェル・インベストメンツ・リサーチがリポート内容を公表してから平均で35%下落、顧客であるヘッジファンドに利益をもたらしてきた。

株価下落の度合いはこれまでのところ、グラウカス・リサーチ・グループやシトロン・リサーチという名の知れた国外の空売り投資家が標的とした銘柄の値下がりより大きい。両社ともに今年の夏、初めて日本企業に関するリポートを発表。荒井氏が今後も実績を残し続けられるかは未知数だが、同氏自身は日本市場には批判的な見方がもっと必要だとし、今後もこの分野で名を成す構えだ。

弁護士でもある荒井氏(40)は英語のインタビューで、「この業界で私は素人みたいなものだ。自分の能力を示したい」と話した。

日本株市場に物言う空売り投資家が登場したことで、その戦略のメリットをめぐって論争が起きている。ファンダメンタルな分析に強烈な表現や攻撃的な姿勢が加わることも多い空売りリポートだが、市場を効率的にし企業の不正を抑制すると好意的に評価する声もある一方、市場操作とほとんど変わらないという批判もある。

荒井氏は自身のリポートが、コーポレートガバナンス(企業統治)と透明性をそれぞれ向上させる起爆剤にならないかと考えてきた。シトロンやグラウカスと異なり、自身が標的とする企業の株式でポジションを持ったことはなかったと説明。ウェル・インベストメンツのリポート購読者は全員が外国人投資家だと明かしたが、具体名は示さなかった。

8月25日の都内インタビューで同氏は「少なくとも現時点で、私はポジションを持ちたくない。顧客との間で利益相反になり得る」と述べた。

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最終更新:9月14日(水)7時59分

Bloomberg