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〝感動ポルノ〟求める社会 バリバラで大橋さんが伝えたかったこと 「五体満足で幸せ」思っていませんか?

withnews 9/17(土) 7:00配信

 障害者の姿をメディアが意図的に感動させようと描くのは「感動ポルノ」では――。8月末に放送されたNHKの番組が、そんな疑問を投げかけました。その出演者のひとりが、難病で車椅子生活を送る大橋グレース愛喜恵さん。熱戦が続いたリオデジャネイロ・パラリンピックの閉幕を前に、大橋さんの真意を考えてみました。(朝日新聞社会部記者・佐藤恵子)

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感動させるための道具じゃない

 NHKのEテレが8月28日夜、情報バラエティー「バリバラ」を生放送しました。「検証!〈障害者×感動〉の方程式」と題して、出演者が議論。感動をかき立てる道具として障害者が使われることを「感動ポルノ」と呼びました。

 同じ時間帯に、チャリティー番組「24時間テレビ39『愛は地球を救う』」(日本テレビ系列)がフィナーレを迎えていたこともあり、ネット上で「バリバラが24時間テレビにけんかを売っている」と話題に。

 大橋さんはこう振り返ります。「1年で最も多くの人が障害のことを考える日。その日に、メディアによる障害者の取り上げ方を問題提起したかったんです」

 「障害者のありのままの姿を描き、思いを伝える。その結果、見た人が感動するならいいんです。でも意図的に感動させようと、作り手がやらせや編集を加えたら感動ポルノになります。障害者を商売の道具にして、感動や勇気を誘うようなものです」

「困難」を「前向きに」「乗り越える」姿

 バリバラでは一般的な感動ポルノの例として、大橋さんを主人公にした疑似ドキュメンタリーも紹介しました。

 大橋さんは多発性硬化症という難病で、胸から下はほとんど動かず、両目もほぼ見えません。食べ物をうまく飲み込めない障害もあり、1日3食のうち2食は、腹部に穴を開け、管で栄養剤や医薬品を入れる「胃ろう」です。

 そんな大橋さんを、困難な状況でも周囲の支えで乗り越えて前向きに生きる姿に描くために、本人の本音や事実をそぎ落とす制作過程を例示した疑似ドキュメンタリーでした。

 たとえば、胃ろうが紹介された場面です。スタッフが「大変ですよね」と語りかけると、「意外と食べる手間、作る手間も省けるのでそんなことないです」と大橋さん。でも、その大橋さんの言葉は放送されず――。

 「メディアの障害者の取り上げ方の多くが、感動ポルノ的になるのは、それを社会が求めているからだと思います。健常者の方は障害者を見て、こう思ったことはありませんか。『こんなかわいそうな人がいるんだ』『自分は五体満足で生まれて幸せだな』。そう感じてしまう意識が、感動ポルノを生み出し、社会に差別や壁をもたらしているのでは」

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最終更新:9/17(土) 7:00

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北朝鮮からの脱出
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