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<豊洲市場>11年基本設計時に空洞 盛り土提言考慮せず

毎日新聞 9月15日(木)2時30分配信

 東京都の築地市場(中央区)からの移転が延期された豊洲市場(江東区)の主要建物下に土壌汚染対策の盛り土がされなかった問題で、都と市場の建物の設計契約を結んだ設計業者が2011年6月に提出した基本設計書で既に建物下に空洞が設けられていたことが都への取材で分かった。土壌汚染対策の工法を検討するため同時期に開かれていた専門家の「技術会議」に都はこの基本設計書を示さず、空洞をつくることも説明していなかった。

【盛り土がされず空間が広がっている地下の写真】

 土壌汚染対策を検討する外部有識者の「専門家会議」は08年、盛り土を提言したが、都は3年後には「盛り土なし」で進めていたことになる。小池百合子知事は調査を指示している。

 議事録などによると、07年5月の専門家会議の第1回会合で、委員が「ガスや揮発性のものは、ちょっとでも隙間(すきま)や亀裂があれば(建物内に)上がってくる」と指摘し、地下に駐車場など構造物を造ることに懸念を示した。このため都は、市場で使われる荷台付き小型三輪運搬車「ターレー」の置き場を地上に設けることなどを提示した。専門家会議は08年7月の最終第9回会合で敷地全体での4.5メートルの盛り土を提言した。

 提言を受け08年8月から14年11月まで技術会議が開催された。都中央卸売市場によると、設計業者と契約を結んだのは、この間の11年3月。同年6月に提出された基本設計書では、建物下に深さ3.8メートル程度の空洞がある。13年2月に出された実施設計書でも、深さ4メートル程度の空洞が確認できるという。都が作製し「平成25(13)年12月」の記載がある設計図にも、深さ4メートル程度の空洞がある。

 都は14年2月と11月、技術会議に盛り土工事の完了を報告したが主要建物の建設場所に盛り土をしなかったことは説明していない。

 都中央卸売市場の担当者は「配管や電気設備敷設のため地下に一定の空間は必要だが、深さが4メートルもあることに当時の認識が甘かったと感じる。(盛り土をしないことを)専門家会議に知らせていなかったことも問題だった」と話している。【川畑さおり、円谷美晶】

 ◇都提示5工法に床下駐車場案も

 都が土壌汚染対策の工法について盛り土を前提に公募しながら、それを基に技術会議に示した工法5案の一つは、床下に空間をつくり駐車場として利用するものだったことも判明した。

 都は技術会議で議論する工法を公募し、その際に工事内容を「地表から深さ2メートルまで掘削して新しい土と入れ替え、その上に2.5メートルの盛り土をする」とした。

 民間業者や研究者らから寄せられた提案を基に、都は2008年11月の会合で5案の工法を示した。ただ、5案の可否について技術会議で議論はなかった。

 ◇ことば【基本設計】

 建物の高さ制限など法律面の条件を踏まえて図面を作製し、大まかな工事費を算出するための設計作業。実際に工事を始める時は、構造や設備を詳しく盛り込んだ「実施設計」を行う。

最終更新:9月15日(木)4時24分

毎日新聞