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5型サイズでWindows 10/Android 5.1のデュアルブート機をINDIEGOGOで買ってみた

Impress Watch 9月15日(木)6時0分配信

 中国のARMdevices.netが開発・製造する5型のWindows 10/Android 5.1デュアルブート端末「GOLE1」について、6月にニュースで取り上げた。Windowsはデスクトップ版で、EthernetやHDMI出力を備えるなど、仕様的にも面白く、価格も129ドルと安価だったので、注文したところ8月の中旬に届いた。本稿ではそのレビューをお届けする。

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 過去にもWindowsとAndroidのデュアルブート対応機は、秋葉原などでいろいろと売られている。全てを見たわけではないが、過去に発売された製品はWindowsタブレットとAndroidタブレットを合体させた製品だったと思う。利用形態はタブレットで、どちらのOSがメインになるかはユーザー次第だが、どちらかで主に使い、そちらにはないアプリをもう1つのプラットフォームで起動するという使い方が大半だろう。

 一方、GOLE1が面白いのは、デスクトップWindows PCとAndroidタブレットを合体させた仕様となっている点だ。まず、本製品は5型のタッチ液晶を搭載しており、Androidを起動すれば、一般的タブレットよりは画面サイズが小さいが、タブレットとして使える。これをWindowsに切り替えると、もちろんWindowsタブレットとしても使えるのだが、本製品はフルサイズのUSBを4ポート、フルサイズのHDMI出力、そしてEthernetまで備える。その分、本体の厚みはタブレットとしては厚くなっているが、ネットワークのほか、キーボード、マウス、ディスプレイ、その他各種周辺機器を繋いで、小型のデスクトップPCとしても無理なく利用できるのだ。なかなか熱いコンセプトだ。

 製品を注文したのは6月27日。メモリ4GB/ストレージ64GBの上位モデルで、価格は129ドル(2GB/32GBモデルは99ドル)。これに別途26ドルの送料がかかった。注文時(そして8月になった現時点でも)、予定出荷時期は7月と記載されていたが、実際に届いたのは8月15日だった。1カ月の遅延というのはちょっと気になる人もいるかもしれないが、週に1度くらい「今、最初の400台出荷したから!」と言った、おおざっぱな製造状況などがメールで届いていたので、「まぁ、届かないことはないだろう」と気長に待っていたところ、忘れた頃に届いた。

■外観とハードウェア

 発送元の住所は香港で、DHL Experssで届いた。DHL標準のビニール袋の中には「GOLE」ロゴの印刷された段ボール箱が入っており、これを空けると、中には化粧箱が入っていた。ベージュ色でエンボス加工された化粧箱は高級感がある。中国製でクラウドファンディング製品ということで、むき出しの本体がプチプチに包まれて届くくらいを想像していたが、大手メーカー品に勝るとも劣らないパッケージで、開封にあたって購入者に高揚感を与えてくれる。

 パッケージの中身は、本体とマニュアル、HDMIケーブル、ACアダプタ。HDMIケーブルが標準付属という点に、メーカーとしてもデスクトップPCとしても使って欲しいという意図があることが覗える。

 外観は、右上にアンテナがあり、正面下部に遠慮なく大きめのスピーカー穴などが見えるあたり、一寸前の海外製ポータブルTVのようだ。買う前から分かっていたが、控えめに言ってもおっさん臭い。左下の音量ボタンも押すとベコベコしてるあたりも、パッケージを開けた時の高揚感などどこ吹く風、一気に安物を掴まされた感覚に襲われること請け合いだ。ただ、筐体はイマドキのローズゴールドカラーで、質感は結構いい。

 CPUはAtomとして最新となるCherryTrail世代のx5-Z8300(1.44GHzで)。性能的には一般的なアプリを動かすには十分。ベンチ結果は追って紹介する。

 液晶は1,280×720ドット表示でタッチ対応の5型IPS。IPSなので視野角は広く、斜めから見ても色が変化したりしない。ただ、液晶保護フィルムの品質が低く、ざらついた感じに見えてしまうのが残念。もしかしたら、このフィルムは剥がすのかなとも思ったが、その上にロゴの入った別のフィルムが貼られていたので、こちらは剥がさないで使うものと判断している。

 インターフェイスは、USB 3.0、USB 2.0×3、Micro USB、HDMI出力、Ethernet、IEEE 802.11/ac無線LAN、Bluetooth 4.0、microSDカードスロット、ヘッドフォン、AC電源端子となっている。充電はACからでもMicro USBからでもできる。無線については日本の技術適合認定を受けていないが、幸いEthernetがあるので、無線をオフにして、有線LANで利用できる。

■謎めいた出荷時の設定にときめく

 さあ、電源オンだ。

 マニュアルによると、起動後にWindowsとAndroidの選択画面が出るとされているが、そのような画面は出なかった。代わりにしばらく待っていると、Windows 10が起動した。

 普通、新規PCを購入すると、ユーザー名の入力やMicrosoftアカウントの登録などの画面が出るが、それらのプロセスは全てすっ飛ばして、Windowsの画面が表示。あらかじめ登録された「GOLE」というユーザー名でログオンされた。OEM PCとしての作法をガン無視している気がするのだが、大丈夫なのだろうか。とりあえずOSはライセンス認証されていることは確認できたので使い続けた。

 OSはほぼ素の状態だが、なぜかストアアプリの「Candy Crush Soda Saga」と「Twitter」が入っている。もう1つ、デスクトップには、「WinToAnd.exe」というファイルが置かれている。ショートカットではなく、Exeファイルそのものだ。メーカーがテスト用のファイルを置いたまま、削除し忘れたのかと思ったが、マニュアルによれば、これが仕様だ。これは、OSをAndroidに切り替えるためのツールだ。

 つまり、このツールは通常の手順でインストールされていないので、アプリ一覧には出てこない。出荷時、本製品はタブレットモードになっているのだが、このモードではデスクトップやエクスプローラーにアクセスできず、このファイルにたどり着けないことを意味する。OSを切り替えるには、一度デスクトップモードに切り替える必要がある。

 このあたりまで使ったところで、「ああ、この製品はすごく器用なおじさんが趣味で作った手作りの自作PCなんだな」と理解した。INDIEGOGOでの取り扱いという時点で、この製品を購入するのはキワモノ好きに限られるだろうから、その辺りも攻略ポイントと捉えて扱うのが本製品の正しい楽しみ方なのだろう。

■性能と使用感

 本製品は先に述べた通り、技術適合認定を受けていないので、無線LANを使って国内で利用できない。しかし、それではモバイル製品としての本製品の魅力が半減するので、実際には有線LANで使いつつも、無線LANが使える想定でレビューしていく。

 まずは、Windows環境。出荷時は英語設定になっている。より正確には、表示は英語設定で、地域設定はドイツでドイツ語の言語パックも入っているという、これまた謎の仕様となっている。日本語の言語パックをダウンロードし、システムロケールおよびようこそ画面を「日本語(日本)」の設定に変更すると、見慣れた環境になる。

 720pの解像度はWindows用としてはかなり窮屈ではあるが、5型というサイズ上、文字サイズはちょっと小さく、デスクトップアプリやタスクバーなども、タッチでは狙ったところをタップしにくいし、ソフトキーボードを表示すると画面の半分を占拠されるので、この解像度でも高解像度すぎるくらいだ。

 と言うよりも本製品は、タブレットとして使うよりも、外部ディスプレイやキーボード、マウスなどを繋いで、デスクトップ代わりに使うのが本命だと考えている。5型のタッチ液晶はおまけ的存在だと割り切ろう。HDMIで4K液晶にも出力できるし、キーボード・マウスを繋げば、WordやExcelの作業も捗る。実際、本体に厚みがあり、自立するところからも、存在感としてもデスクトップマシンに見える。

 また、過去のものを含めたデスクトップアプリや、膨大な数のUSB周辺機器も利用できる。USBポートについては、13型薄型ノートよりも多いほどだ(ただし、USB 3.0ポートは、USB 2.0のメモリは認識したが、レキサー製128GB USB 3.0のUSBメモリを繋いでも認識すらされなかったことを付記しておく)。

 スペック的にメインマシンにはならないかもしれないが、ゲームを除いたたいていの作業をストレスなくこなすことができ、いざとなれば持ち出して、それ単体で全ての作業もできる。モビリティのあるデスクトップマシンに関心を抱く人は多いのではないだろうか?

 性能は、PCMark 8のHome Acceleratedで1,407、Creative Acceleratedで1,464、3DMarkのIce Storm Unlimitedで13,773、Cloud Gateで1,346だった。

 BBENCHで、バックライト10%、キーストローク出力/オンで、約5.2時間だった。Wi-Fiがオフとなっているので、それを差し引くと2~3時間程度だろうか。モバイル機器というより、ちょっとの間ならバッテリでも動作するという感覚だ。

 次にAndroid環境。OSのバージョンは5.1。やや古めではあるがまだまだ現役。標準でインストールされているアプリはなんとたったの14個。素の状態でも、普通ならGmail、Googleマップ、YouTubeなどが入っているものだが、それすらない。一方で、通話機能はないのに、着信があった時の挙動を設定する「Aware Hub」というアプリが入っている。また謎が増えた。

 とは言え、Playストアアプリは入っているので、各種アプリは自由にインストールできる。GmailやGoogleマップ、各種ベンチマークなどを入れた。ただ、人気のPokémon GOもインストールできたが、起動しようとするとエラーが発生してしまった。CPUがAtomだからだろう。もっとも、動いたとしてもGPSを搭載していないので、どのみちまともにプレイできない。

 こちらも出荷時は言語が英語になっている。設定変更はWindowsより楽で、設定アプリで日本語を選べば、日本語環境になる。日本語入力は入っていないので、別途Playストアからダウンロードする。ストレージはハードウェアとしては64GBを搭載するが、そのうち4.82GBがAndroid用に割り当てられており、4.39GBを利用可能となっている。加えて、本製品はmicroSDカードスロットがあるのだが、アプリをSDカードに移動させることができなかった。データはSDカードに保存するとしても、100MBを超えるサイズのアプリが当たり前の昨今、この空き容量だとちょっと心許ない。

 インターフェイスは、Android環境でもmicroSDカードに加え、USBポート、HDMI出力、Ethernetとも全て利用できる。ただし、Micro USBは充電専用となっているようで、PCに繋いでもマスストレージとしては認識されなかった。USBデバッグモードの設定で変わるかと思ったが、設定のビルド番号をタップしても開発者向けオプションは有効とならず、変更ができなかった。このほか、注意事項として、HDMIについては、Windowsと違い、画面の複製のみのサポートとなる。USBについては、一般的USBメモリを利用できたが、128GBのものを接続しても、32GBまでしか認識できなかった。

 AndroidからWindowsへ切り替えるには、通知領域のクイック設定にある「OS SWITCH」をタップするだけだ。Windows環境では解像度の関係でタッチ操作に難があったが、もともと5型前後も想定しているAndroidでは、そういった問題もなく快適に操作できる。

 Androidについても、いくつかベンチマークを実施した。結果は、AnTuTu Benchmarkが57,587、GeekBench 4のSingle Coreが901、Multi-Coreが2,040、3DMark Ice Storm Unlimitedが18,202だった。YouTubeについては、目視となるが1080/60pの動画もコマ落ちなく再生できているようだ。

 Windows、Androidに共通して困ったのが充電がうまくいかない点だ。試してみて分かったのは、Androidだと、スリープ時には充電がされないが、電源を入れている間は充電できる。Windowsだと、スリープにしようがしまいが50%までしか充電できなかった。結構致命的な問題だが、個体不良の可能性も高い。

■ハードウェアの完成度を上げ、技適を取ればそこそこ売れそう

 充電周りやUSBの相性的な点など、ほかにもハードウェアの問題はあるが、開発元では近々いくつかの問題を改善したファームウェアを公開するとしており、もう少し完成度は上がりそうだ。

 惜しむらくは、本製品は技術適合認定を受けていない点で、日本での利用には制約がつきまとう。それを抜きにすれば(実際は抜きにはできない大問題だが)、日本人好みのコンパクトさで、2種類のOSが動作し、価格も安価と、いろいろな使い方ができて楽しめ、そこそこ売れる製品だろう。どこか日本の企業が目を付けて、技術適合認定を取得してくれ(かつ、あまりマージンを乗せずに)販売してくれることを願う。

PC Watch,若杉 紀彦

最終更新:9月15日(木)6時0分

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