ここから本文です

不明の松方コレクション14点発見 展覧会出品へ

神戸新聞NEXT 9月15日(木)20時57分配信

 神戸の実業家松方幸次郎(まつかたこうじろう)(1866~1950年)の収集品のうち、戦前の展覧会に陳列されて以降に所在不明だった洋画14点を、東京の美術商が所蔵していることが、神戸市立博物館(同市中央区)の調査で分かった。17日に同館で開幕する「松方コレクション展」(神戸新聞社など主催)への出品を美術商に依頼し、展示が決まった。これらは戦後、人目に触れておらず、公開は80~90年ぶりとなる。

発見されたハーディー作「海の収穫」

 同コレクションは、松方が「日本人に本物を見せたい」と、第1次大戦の戦中戦後の欧州で、私財を投じ購入した膨大な美術・工芸品。金融恐慌などの影響で昭和初期に多くの作品が売却され散り散りになり、現在は国内外の美術館や企業、個人が所蔵している。

 14点は、バルビゾン派のドービニー、トロワイヨンや、「猫の画家」として人気のスタンランら、18~20世紀初頭の英、仏、独の美術家による油彩画や水彩画、素描で、現在、東京都千代田区の美術商「ジールハウス」が所蔵する。

 責任者の阿部洋一郎さん(37)が15年ほど前、同コレクションに含まれるトロワイヨンの油彩画を偶然入手したのを機に、美術市場で松方の旧蔵品を見つけると購入するように。「松方がせっかく日本のために購入した絵。これ以上海外に流出したり、来歴不明になったりしないよう、ビジネスを離れて集めだした」と振り返る。

 以来、計24点を収集。今回19点を出品するが、うち14点は昭和初め、同コレクションの作品売却のため、東京などで開かれた「売立(うりたて)展」に並んで以降、秘蔵されていた。風景、人物、風俗など絵の題材は多彩で、第1次世界大戦にまつわるテーマを描いたスタンランの「欧州大戦スケッチ」や英国の画家ハーディーの「海の収穫」など、同コレクションが形作られた時代の生々しい記録といえる作品も含まれる。

 岡泰正(やすまさ)・神戸市立小磯記念美術館長は「松方コレクションの多様性をよく示している」と評価している。

(堀井正純)

最終更新:9月16日(金)21時28分

神戸新聞NEXT