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あの世でもお仲間 広がる「墓友」の輪

@S[アットエス] by 静岡新聞 9月15日(木)17時10分配信

 身寄りのない高齢者が一つの墓地を介して心を通わせる「墓友」の輪が、静岡県内で広まりつつある。縁結び役になっているのは、身元保証や生活、葬送の支援に当たるNPO法人「きずなの会静岡」。年2回営む合同の供養祭には、毎回40人を超す会員が集まる。「同じ墓に入る仲間がいると分かれば安心」。地縁、血縁に続く新たな縁として、よりどころになっている。

 「心臓を患い、お墓をどうしようかと悩んでいた」。浜松市中区の井上雅子さん(71)は、同会に入会したきっかけをこう振り返る。藤枝市の盤脚院藤枝霊園にある専用墓地での合同供養祭は欠かさず参列する。「私が先に入ったらお参りに来てね」。帰りの食事会では墓友同士の会話が弾む。「一人暮らしの寂しさもなくなった」と笑う。

 墓友の原点は、月1回開かれる同会のメンバーズサロンにある。山崎道生顧問兼浜松事務所長(76)は「会員同士が交流を深める中で、将来は同じ墓に入る仲間だという特別な親密感が湧いてきた」と語る。

 同会による生活支援を求めて浜松市中区から静岡市清水区に移り住んだ大坂好司さん(90)、マサエさん(84)夫妻も「墓友」を心の支えにしている。仲間と温泉や旧跡巡りにも出掛ける。好司さんは「あの世でも一緒になるから死ぬのも怖くない」と話し、マサエさんも「悩みが消え、元気になった」と笑顔を見せた。

 合同供養祭に立ち会う灌渓寺(藤枝市)の加藤仁道住職(50)は「家族でも供養に訪れる人が少なくなった時代。毎回あれだけ大勢の人が集うのは素晴らしい」と感心する。

 今秋の合同供養祭は21日。墓友たちは絆を確かめ合う時間を楽しみに待っている。



 <NPO法人きずなの会静岡>2009年1月に設立。身寄りがなかったり、頼れる親族が身近にいなかったりする高齢者が入院、施設入所、住宅入居する際の身元を保証し、生活支援や死亡した場合の葬送支援などを行っている。必要となる預託金は190万円で、月1万円の積み立てによる支払いも可能。預託金から各種支援の費用が支払われ、契約者が死亡した場合は残額分が相続人に返還される。現在は静岡事務所(静岡市駿河区稲川)と浜松事務所(浜松市中区鍛冶町)の2事務所で運営している。

静岡新聞社

最終更新:9月15日(木)17時48分

@S[アットエス] by 静岡新聞