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<視覚障害者転落事故>都内55駅「危険」 日盲連アンケ

毎日新聞 9月15日(木)12時24分配信

 東京メトロ銀座線青山一丁目駅で8月、盲導犬を連れた視覚障害者の品田直人さん(55)がホームから転落し、電車にひかれて死亡した事故は、目が不自由な人にとって駅のホームが「欄干のない橋」であることを改めて浮き彫りにした。15日で事故から1カ月。視覚障害者が危険を感じる駅が首都圏に多数あることも障害者団体の調査で判明し、「早急な再発防止策が必要」との声が高まっている。【高橋昌紀】

【視覚障害者の37%「ホームから転落の経験」】

 13日午前9時半。東京都営地下鉄大江戸線勝どき駅(中央区)のホームは通勤客らが慌ただしく行き来していた。「人が少ないと困ったときに助けてもらえない。多いと衝突の危険がある。ジレンマです」。視覚障害者の藤井貢さん(63)はつぶやいた。

 日本盲人会連合(日盲連)組織部長の藤井さんは、中央区の自宅から新宿区の日盲連本部まで地下鉄で通勤している。「障害のない妻に手伝ってもらい、通勤ルートを開拓しました」。通勤時間よりも重視したのは、乗り換え時の安全性。勝どき駅にはホーム柵がある。「柵の有無はもちろん、混雑する駅は避けたかった」

 事故後、日盲連は会員らを対象に緊急アンケート調査を実施。計57人の回答を集計したところ、「危険と思われる都内の駅」として、全55駅(うち地下鉄は16駅)の名前が挙がった。

 それによると、最も多かったのはJR中央・総武線の飯田橋駅(10件)。「ホームがカーブしているため、電車との間が空いている」。次はJR山手・中央線の新宿駅(8件)で「点字ブロックの上を歩いていると柱にぶつかる」などの指摘があった。鉄道事業者への要望は「ホームドアの設置」(27件)「駅監視員の増員」(12件)が多かった。

 東京メトロは順次ホームドアを設置しているが、どの駅を優先させるか見直しを始めている。視覚障害者の利用状況などを踏まえ、警備員の増員、配置換えも行う予定だ。同社広報は「視覚障害者の方々の意見を事故の再発防止に役立てたい」と言う。

 一方で日盲連、全日本盲導犬使用者の会など計5団体は今月、情報交換のための懇談会を設立した。今後も危険な駅に関する独自調査を行い、鉄道事業者や国に対策を提言していくという。

 日盲連の竹下義樹会長は「今回のような事故を繰り返してはならないし、教訓にしなければならない」と強調する。その上で「安全確保には一般の人の協力も大切。盲導犬が万能ではないこと、(視覚障害者に)声を掛けることの大切さをもっと伝えたい」と話している。

 ◇再発防止へ年内に中間報告

 東京メトロ銀座線青山一丁目駅の転落死事故を受け、国土交通省は鉄道各社を集めた会議で再発防止策を検討し、年内に中間報告をとりまとめる。同社だけでなく鉄道事業者全体の問題との受け止めが広がっており、ホームドアの整備、盲導犬や障害者への対応の指針など、ハードとソフト両面の対策を強化し、安全性向上を目指す。

 国交省によると、視覚障害者が駅ホームから転落する事故は、10年度58件▽11年度74件▽12年度91件▽13年度74件▽14年度80件--と後を絶たない。こうした中、銀座線青山一丁目駅の事故を受けて8月26日に開かれた同省の初会議では、東京メトロがホームドアの整備計画の前倒しを検討していると報告。障害者の乗降やホームでの移動を補助するため、一般の乗客の協力を得る方策も会議で議論することになった。

 国交省は今後、視覚障害者や盲導犬を養成する団体からのヒアリングを実施。障害者の意見や盲導犬の特性を踏まえ、駅員らが対応する際の指針作りに着手する。また、視覚障害者からの要望が強いホームドアの整備については、バーが上下に動く「昇降式ホーム柵」など新型の開発費を助成しており、さらなる整備を促したい考えだ。【内橋寿明】

 ◇■危険と思われる鉄道駅の上位5駅と主な理由■

1 JR中央・総武線飯田橋駅 =10件

  「電車とホームが離れている」

  「場所によっては電車とホームの高低差が20センチある」

2 JR山手・中央線新宿駅 =8件

  「いつも混雑しており、線路側に押されることがある」

  「点字ブロックの上を歩いていると柱にぶつかる」

3 JR山手線渋谷駅    =3件

  「電車に乗るとき、ホームとの落差がありすぎる」

4 JR総武・中央線御茶ノ水駅=3件

  「乗り換え時に(特定の場所で)壁にぶつかりやすい」

5 小田急線新宿駅     =3件

  「柱を避け、点字ブロック上を歩かなければならない」

※日盲連などのアンケート調査から

最終更新:9月15日(木)13時44分

毎日新聞

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