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<岸和田だんじり>篠笛の音の変化憂い、CD付き冊子で伝授

毎日新聞 9月15日(木)12時42分配信

 だんじりが街中を駆け巡る「岸和田だんじり祭」が17、18日、大阪府岸和田市で開催される。勇壮な祭りを彩るのは、篠笛(しのぶえ)や太鼓が奏でる軽快な鳴り物だ。今年のだんじり祭を前に、篠笛奏者で、篠笛販売の会社「民(たみ)の謡(うた)」(同市五軒屋町)を営む森田玲さん(40)が、吹き方などをまとめたCD付き冊子「岸和田地車(だんじり)囃子(ばやし)・鳴物(なりもの)篠笛事始メ」を出版した。初心者がつまずきやすいところなどを丁寧に解説した篠笛の入門書。森田さんは「地域の文化、祭りを再考する契機にしてほしい」と話す。

 大阪府忠岡町出身の森田さんは幼い頃から毎年、母親の実家がある岸和田市内のだんじりを曳(ひ)いていた。篠笛や太鼓の音は体に染みついた森田さんだが、その音に違和感を覚えたのは大学4年の時。下宿先の京都市内から、久しぶりに岸和田に帰って来た時のことだった。篠笛の音が以前よりも響きを失い、旋律も短くなったように感じた。

 そのころの主流は細い篠笛。息を吹きこむ孔(あな)も小さく、簡単に音が出る一方、音が裏返りやすく低い音が出づらくなる難点もある。低い音を避け、高い音から始まる旋律のみを吹くため、旋律に多様性がなくなったと感じた。

 曳き手の呼吸を合わせるために吹くホイッスルが広まり、その音で篠笛の音が聞こえにくいことも気がかりだった。変わりつつある祭りの音。森田さんは大学をやめて楽器店を始め、篠笛の復活に乗り出した。

 約10年前からは、だんじりを担う地元の青年団や子どもたちを対象に篠笛を教え始めた。そこで感じた課題をもとに、篠笛への理解を深めてもらおうと冊子にまとめた。構え方や呼吸法をわかりやすく説明したイラストやCDも添え、子どもから大人まで活用できるよう心がけたという。「篠笛は太鼓の勢いに、みやびさや華やかさを添える存在。自在に吹けるようになる若者が増えて、今以上に魅力的な鳴り物になればうれしい」

 CD付きで1冊2160円。問い合わせは民の謡(電話072・447・5667)。【井川加菜美】

 【ことば】岸和田だんじり祭

 岸和田地区22台、春木地区12台のだんじりが参加、2日間にわたり岸和田城下を疾走し、宮入りなどの神事がある。見どころはスピードに乗るだんじりが勢い良く角を曲がる豪快な「やりまわし」。篠笛、大太鼓、小太鼓、鉦(かね)で構成される鳴り物の奏者はだんじりに乗り込んで祭りを盛り上げる。

最終更新:9月15日(木)13時50分

毎日新聞