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ビッグデータとAIで個人への融資を評価、みずほ銀とソフトバンクが新会社を設立

ITmedia エンタープライズ 9/15(木) 19:57配信

 みずほ銀行とソフトバンクは9月15日、ビッグデータや人工知能(AI)技術を利用して個人向け融資を行う合弁会社を11月に設立すると発表した。2017年前半の事業開始を目指す。

【その他の画像:プライバシーの懸念も】

 新会社は両社が50%ずつ出資し、設立当初の資本金は50億円。無店舗によるローコスト運営に徹することで、従来の個人向けローンでは難しかった低金利を実現できるという。新会社には2社のコーポレートガバナンスを活用して信頼性や透明性の確保に努めるとしている。今後2社で名称やブランド、具体的なビジネスモデルなどについて詳細を詰める。

 合弁会社の新サービスは、全てモバイルアプリから提供する。融資を希望する個人がアプリに自身の属性情報などを入力すると、事前の与信審査として「プレスコアリング」が行われ、融資額や金利などが決定される。情報入力から30分以内での入金が可能だという。

 また、利用者がより多くの情報を提供することでスコアをアップさせ、融資額の枠を広げたり、より低い金利にしたりもできる「スコア・レンディング」を国内で初めて可能にしたという。スコアリングには、みずほ銀行が持つローン審査のノウハウやビッグデータ、ソフトバンクが持つデータ分析やAIの技術などを利用する。

 みずほフィナンシャルグループの佐藤康博グループCEOは、「従来の金融機関では難しかった領域に個人向け融資を広げられる全く新しいビジネス」と述べ、ソフトバンクグループの孫正義社長は、「お金のない若者が夢を実現するための手助けになりたい」と語った。

●FinTechによる社会変革を目指す

 佐藤氏と孫氏による合弁会社に関するプレゼンテーションでは、ビッグデータやAI、FinTechなど最近のIT業界におけるトレンドキーワードがいくつも登場した。

 佐藤氏は、金融分野におけるITの活用が業界構造を分解させているとし、「金融以外の新たなプレーヤーが続々と参入し、従来の金融機関は受け身の立場。将来にわたる事業継続が経営課題であり、テクノロジーを活用した取り組みを推進している」と説明。

 みずほ銀行の代表的な取り組みとして、IBMの人工知能技術「Watson」をコールセンターに適用したケースや、営業店への人型ロボット「Pepper」の導入、スマホやPCで資産運用のアドバイスを提供する「SMART FOLIO」があるといい、富士通との国際証券取引におけるブロークチェーン技術適用の実証実験も紹介した。

 孫氏は、ソフトバンクの強みがテクノロジーと投資にあるとし、FinTech領域については国内外の多数の企業に出資していると説明した。

 特に個人向け融資では、総額10億ドルを出資する米オンライン出資サービスベンチャーのSoFIのケースを挙げ、「わずか3年間で1兆円規模の貸付を実現した企業はこれまでになく、貸し倒れ率も1%を大きく下回る実績を出している。ビッグデータとAIによって、新たな可能性を持つ個人向け融資ビジネスを実現できると判断した」と話す。

 そのイメージとして孫氏は、「結婚や留学など若者が夢をかなえたくとも融資を受けられず、あきらめざるを得ないことがある。老後で資金に余裕ができても夢をかなえる残された時間は少ない。可能性のあふれる健全な若者の将来性に融資する仕組みを通じて、そうしたギャップを埋めていきたい」と述べた。

●プライバシーへの懸念も

 合弁会社が融資の有無や内容を決定するための判断材料は、基本的に利用者が自己申告する属性情報となる。利用者が不正な情報を提供することで不正に融資を受けるリスクがあるものの、2社では膨大なビッグデータやローン審査などのノウハウを取り入れたAIの機械学習を最大限に利用することで、そうしたリスクを大きく提言できるという。

 合弁会社が当面の融資対象とするのは、個人の無担保ローンのみだが、将来像では自動車ローンや住宅ローンなどに拡大する可能性が示された。また、新たな企業提携などを通じて合弁会社が提供するサービスを応用した新規事業の開発も検討していく可能性があるという。

 一方で、こうした将来での利用者情報の利用拡大によってプライバシー侵害などのリスクも懸念される。孫氏は、「利用者のプライバシーについては最大限配慮している。情報の提供やその利用については利用者の同意(オプトイン)を前提であり、そうした懸念はないと考えている」と説明した。

 ただ、利用者が合弁会社に対して具体的にどのような属性情報を提供するのか、その情報を当初のサービス以外に利用する具体的な計画や、情報の具体的な安全管理体制などについては今後検討を進めるとのコメントにとどまった。

最終更新:9/15(木) 19:57

ITmedia エンタープライズ

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