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輸入米で偽装取引 公表より安く流通も

日本農業新聞 9月15日(木)7時0分配信

 政府が国家貿易で輸入する売買同時入札(SBS)米を巡り、公表されている落札価格よりも安く取引される商慣習が業者間で横行していたことが、関係者への取材で分かった。輸入商社が卸売業者に「調整金」と呼ばれるリベートを支払い、米卸は公表されている落札価格よりも事実上安く輸入米を買っていた。現在も行われていれば、輸入米が国産米よりも大幅に低い価格で流通している可能性がある。農水省はこれを受け、実態把握に乗り出す方針だ。

商社が卸に「調整金」

 米の輸入はミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)として年間77万トン輸入するが、そのうち10万トンは主食用米でSBS方式で輸入する。SBSは輸入商社と卸売業者など実需者がペアで入札に申し込む方法で、国を挟むが実質的には売り手と買い手の直接取引だ。

 SBS取引に入札資格のある米卸は、調整金の仕組みについて「業界の商慣習として行われてきた」と打ち明ける。国産価格が下がり、輸入米との価格差が縮まるほど、調整金の金額は高くなる傾向にあったという。別の米卸も「業界ではみんな知っている」。国産米の取引でもスーパーなど販売先に、後から割戻し金を支払う慣例があるという。

 例えば、輸入商社は1キロ100円で調達して国に150円で輸入米を売り、国は米卸に200円で販売する。ただ、実際には、輸入商社は調達価格と国に売る額との差額から、自社の利益を引いた残りを「調整金」として米卸に渡す。調整金が40円だとすれば、米卸は実質160円と公表されている落札価格より安く仕入れていることになる。実際に考えられているよりも、大幅に安い価格で市場に販売することも可能になる。

 政府は環太平洋連携協定(TPP)で、米国とオーストラリアから7.8万トンをSBSで輸入することに合意。これまでの入札結果を基に「SBS米は、国産業務用米と大きな差がない」と説明してきた。だが、調整金を得て米卸が市場に安く販売している場合、この説明と矛盾することになる。

 農水省は、把握していないとした上で、今後過去の落札業者に聞き取り調査し、公表価格で実際に取引しているか確認する方針だ。また仮に調整金があったとしても、現在流通している米国産米の小売価格は国産米と大差なく、大幅に安く流通している実態は見当たらないと説明している。

 山本有二農相は14日、記者団に「取引に何らかの不正があれば、断固とした対応で臨まなければならない」と述べ、合法でも制度の趣旨に合わない取引があった場合、運用の見直しが必要との見方を示した。

日本農業新聞

最終更新:9月15日(木)7時0分

日本農業新聞