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<東京五輪招致疑惑>都に資料は存在しなかった 招致委解散で閉ざされる情報開示

アジアプレス・ネットワーク 9/15(木) 5:30配信

東京都の小池百合子知事は、東京オリンピック・パラリンピックの支出について再調査を行うとしているが、英紙が最初に報じた招致委員会のコンサルタント契約についての疑惑について、東京都は「資料は存在しない」と回答、再調査によっても解明が困難なことをうかがわせている。(アイ・アジア/鈴木 祐太)


この問題は、東京オリンピック・パラリンピックの招致を担当した「東京2020オリンピック招致委員会」(以下、招致委員会)が、招致活動をめぐって招致決定に一定の権限を持つ関係者に多額の賄賂を送った疑いがもたれているというものだ。

これを最初に報じた英「ガーディアン紙」によると、招致委員会は2013年7月と10月の2度にわたり、シンガポールに本社を置く「ブラックタイディングス」の口座に計約2億3000万円を振り込んでいる。この会社が当時、IOC委員で招致活動に大きな影響力を持ってラミン・ディアク氏の息子と深いつながりがあることから、招致のための賄賂の疑いが有ると「ガーディアン紙」は指摘していた。

これについてアイ・アジアが東京都に取材したところ、まず招致委員会はNPO法人で都から独立しており、行政の情報公開の対象ではないという説明だった。このため、招致委員会と当時連携をして作業を行っていた東京都の一部局である「オリンピック・パラリンピック準備局」に対して情報公開請求を行った。結果は、「当該公文書は、東京都(オリンピック・パラリンピック準備局)では作成及び取得しておらず、存在しない」という回答だった。

では、資料は存在するのだろうか。都の担当者は「私たちはこの問題には関与していないので分からない」と話した。資料があるとすれば、招致委員会がもっていることになる。しかし、招致委員会はすでに解散しているため、資料は清算人である水野正人氏が引き継いでいるという。

この水野氏とは、スポーツ用品メーカー「ミズノ」の元会長のことだ。招致に関する歴史的な記録が、大企業のトップとは言え、一民間人に託されているわけだ。では、水野氏は、資料を保管する義務や必要に応じて開示する義務があるのか?前述の担当者は、「分からない」と話した。

この「ブラックタイディングス」への不透明な支払いについては、既にフランスの捜査機関が調査に乗り出しているという。これについて、捜査権が及ばない日本にまで捜査のメスは入らないという指摘もあるが、多額の税金が投入された行事に関する重要な資料が一民間人に託され、それがどうなっているのか誰も把握していないわけだ。状況は今後改善されるのだろうか。

残念ながら、そうならないことは現状が物語っている。前述のように招致委員会は解散しており、現在は「公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」(以下組織委員会)となっている。ところが、組織委員会も情報公開請求の対象となっていないのだ。つまり今後も議論の中身が市民に公開されることはないのである。

小池知事にまず求められるのは、支出のチェックのみならず、こうした隠ぺい体質とも言えるあり方を変えて、常に情報が開示されるよう仕組みを作りなおすことだろう。

最終更新:9/15(木) 5:30

アジアプレス・ネットワーク

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。