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ヤマハ「つま恋」幕に衝撃-“フォークソングの聖地”約40年の歴史に終幕

日刊工業新聞電子版 9月15日(木)12時32分配信

ヤマハの業績は好調も、つま恋は赤字続きだった・・・

 ヤマハは、子会社が運営する会員制リゾート施設「ヤマハリゾート つま恋」(静岡県掛川市)の営業を12月に終了する。かつて、ポピュラー音楽コンテスト「ポプコン」の本大会も行われた“フォークソングの聖地”が約40年の歴史に幕を下ろす。この決定は地元や全国の音楽ファンに衝撃を与えた。

 「つま恋はヤマハブランドを一時期、確実に輝かせてくれた」。山口静一ヤマハ上席執行役員は会見の席上、無念の表情をにじませた。つま恋の業績はここ数年、赤字続き。ただ、ヤマハの業績は2016年3月期に4期連続の増収増益と好調なため、「なぜ今」との思いがショックを増幅した。

 しかし、ヤマハによると今後、老朽化した施設の改修など、広大な施設の維持負担は大きく「ヤマハらしい高品質なリゾート施設としての将来像を描けない」(山畑聡取締役上席執行役員)と冷静に判断を下した。

 つま恋の終了を惜しむ声に報いるためにも、高度な経営判断だったと今後の業績で証明するしかない。

インタビュー/音楽企画ディレクター・木下晃氏「多くの出会いに感謝」

 数々の有名アーティストを世に送り出し、日本の音楽史に名を刻んだつま恋が幕を下ろす。開設初期から携わり数々の“伝説”を生んだつま恋の音楽企画ディレクター、木下晃さんがその胸の内を語った。(浜松編集委員・田中弥生)


――営業終了を知った時の率直な思いを。

 「残念の一言。ただ驚きはなかった。ここ数年のイベントの入り方や雰囲気で、感じるところはあった」

――開設当初のエピソードを。

 「つま恋は当時のヤマハ社長でヤマハ発動機創業者の川上源一さん肝いりのプロジェクト。上質な余暇の提案を目指し、図面でオッケーが出ても現場に来てはやり直しの指示が飛んだ。特に料理にはこだわり、器も凝っていた。音楽企画については『この広いキャンパス(つま恋)に音楽イベントで自由に絵を描きなさい』と任せてもらった」

――ポプコンや吉田拓郎・かぐや姫コンサートは音楽ファンの伝説となりました。

 「ポプコンで川上さんが中島みゆきを見いだしたのは有名。拓郎コンサートは野外会場、6万5000人規模の観客と異例づくしだった。ラスト曲『人間なんて』を大合唱し終了後、精根尽き果て会場で眠りこける若者の傍らで黙々と後片付けしたのも思い出。(英ロックバンドの)クイーンの初来日コンサートも実現できた」

――売却先などつま恋の今後は未定。

 「今はリゾートのスタイルも競争環境も変わり、営業終了の判断は仕方ない。この仕事を通じ、多くの関係者やアーティストと出会えたことに感謝している。もし可能なら“つま恋”の名前だけでも残ってほしい」

最終更新:9月15日(木)12時34分

日刊工業新聞電子版