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<熊本地震>二重ローン、減免申請422件 東日本の同時期越す 金融機関の対応限界も

西日本新聞 9月15日(木)11時1分配信

 熊本地震で自宅が全壊した人などの「二重ローン」を軽減するため、金融機関が債務を減免する制度の利用申請が、地震発生後の約5カ月間で422件(9日現在)に上ることが分かった。減免対象が広がったことから、東日本大震災の同時期の378件を上回る。被災者を支援する弁護士などからは、さらなる対象拡大を求める声もあるが、金融機関にとって減免措置は事実上の「貸し倒れ」となるだけに限界もありそうだ。

 全国銀行協会は昨年12月に「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を策定。被災者と金融機関が協議し、支援金など一定の資金を手元に残しながら債務を減免する指針を示した。自己破産と異なり、債務整理をしても信用情報に問題がある「ブラックリスト」として登録されないため、新たなローンが組める。

 ただし、全ての人が減免されるわけではない。前提は、ローン返済が困難で世帯年収が730万円未満の人、家族構成や資産状況も勘案される。さらに、年間返済額と転居先などの住居費が年収の40%以上との目安もある。年収500万円の場合、月16万円以上が該当することになる。

中長期的には経営上のプラスだが、短期的には損失

 熊本県弁護士会には、月100件ペースで申請に向けた依頼があるが、山野史寛副会長は「対象者は限られ、ハードルが高い」として、金融機関側に柔軟な対応を求めている。

 地場各行にとって、顧客の生活再建は中長期的には経営上のプラスだが、減免措置により貸付金の回収額が目減りするため短期的には損失を被ることになる。県内地銀最大手の肥後銀行(熊本市)への債務減免の申し込みは、6日現在で109件に上る。福永健融資企画グループ長は「熊本の復興は、被災者一人一人の再建あってこそ。必要な支援は積極的にやりたい」との立場だが、対象をどこまで広げるか、手探りの対応を迫られているという。

【ワードBOX】自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン

 災害救助法の適用地域で住宅や事業などのローン返済が困難な被災者の債務減免を促し救済を図る指針。金融機関が、被災者の個別事情を勘案して減免額を決め、簡易裁判所の特定調停で債務整理をする。今年4月から運用が始まり、熊本地震が初めての適用となった。

=2016/09/15付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:9月15日(木)11時1分

西日本新聞