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国枝慎吾シングルス3連覇ならず、ダブルスは3位決定戦へ

カンパラプレス 9月15日(木)10時17分配信

 この日のリオには朝から強い熱風が吹いていた。午後12時の気温は32度。車いすテニスの男子準々決勝を迎えたすり鉢状のセンターコートには気まぐれな風が巻き、蒸せ返るような照り返しと肌を刺す太陽の日差しが選手たちの体力を奪う。
 パラリンピックのシングルス3連覇を期待された国枝慎吾(ユニクロ)は13日、ベスト4入りをかけた一戦で世界ランキング2位のヨアキム・ジェラール(ベルギー)と対戦。最速150km/hを超えるビッグサーバーを相手に苦戦を強いられ、3-6、3-6のストレート負けを喫した。この瞬間、偉業達成の夢はついえた。

「第1セットから最後まで、相手のパフォーマンスのほうが上回っていた」と試合を振り返る国枝は、今大会を通じてついに試合勘が戻らず、初戦から苦労していたと明かす。今年4月に手術した右肘は問題なかったようだが、術後、試合数をこなせていなかったことが精神面での不安につながった。
 ただ、「試合感が戻ったとしても、今日の彼に勝てたかどうかはわからない」とも。確かにジェラールは調子の上がらない国枝を終始圧倒し、ゲームの主導権を握った。とりわけ武器のサーブが冴えた。風が強いことや球足が遅くなる重たいサーフェースはジェラールのサーブの威力を奪うかとも思われたが、「風は関係なく、いいサーブが入っていた。あのサーブを攻略しない限り、こちらのペースにはならなかった」と国枝は話している。

完敗を認める国枝、周囲のサポートには感謝

 試合の立ち上がりは悪くなかった。しかし、時折吹く突風で試合が三度中断。そこで集中力を切らす国枝ではなかったが、ボールコントロールが狂ってミスになったり、コースが甘くなったりして、ジェラールにチャンスボールを与えた。国枝も「そこを見逃してはくれなかった」と言うように、ジェラールは4ゲーム目をブレークしたのを潮にたたみかけるような攻撃で国枝から第1ゲームを奪うと、続く第2セットも7ゲーム目まで互いにキープしたものの、先に流れを変えたジェラールが、得意のバックハンドのダウンザラインなどで反撃に出てきた国枝をものともせず、8、9ゲーム目を連取してストレート勝ちを収めた。

「競ってはいたが、どうしてもこちらの流れに持ってこられなかった。どこがターニングポイントというよりも、根本的なところで力負けした。ストローク戦で負けないことが勝つための第一条件だったのに、それができず完敗だった」
 そう負けを認める国枝はリオパラリンピックを迎えるにあたり、かつてないほどの重圧に苛まれていた。特に前年の2015年シーズンは調子が良かっただけに、「昨年がパラリンピックイヤーだったら」と思うこともあったそうだ。
 その苦しさはリオに入ってからも続き、試合後は不安を払拭するため、すぐに練習コートに立ち本来の自分を取り戻そうとした。また、名コンビの丸山弘道コーチにもしきりにアドバイスを求めた。「丸山コーチにもストレスをかけ過ぎてしまったかも」と国枝。
「本当に苦しい一年でコーチやトレーナー、ドクターや家族に迷惑をかけた。多くの人を振り回して、この舞台に立てた。そのことに感謝の気持ちしかない」と話している。

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最終更新:9月15日(木)19時24分

カンパラプレス