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是枝裕和監督、25年を振り返り「本当に人に恵まれた」

スポーツ報知 9月15日(木)15時0分配信

■「映画を撮りながら考えたこと」

 世界三大映画祭の一つ、カンヌ国際映画祭の“常連”で、福山雅治(47)が主演した2013年公開の映画「そして父になる」などで知られる是枝裕和監督(54)の「映画を撮りながら考えたこと」(ミシマ社、2592円)は、これまでの仕事を網羅した一冊だ。是枝監督の作品の裏に隠されたメッセージを感じ取れるのはもちろん、テレビ界、映画界の「今」を知ることができる。(高柳 哲人)

 国内のみならず海外でも名前を知られる是枝監督が、これまでに手掛けたテレビ、映画作品を振り返った同書。企画がたちあがったのは、2008年のことだった。

 「その年に何となく『自分の作品を振り返ろう』と思ったのはたぶん、僕がテレビマンユニオンに入るきっかけとなった村木さん(※注)が亡くなったからでしょうね。テレビと自分との関わりをまとめておきたいという気持ちになりました。ただ、映画について語るのには、やや躊躇(ちゅうちょ)があった。『もうちょっと時間がかかる(後になる)かな』という気持ちはあったんですが…」

 8年という時間を要したのは、自身が最近は毎年のように新作のメガホンを執っていたため。ライターによる聞き書きの形で書かれたが、「インタビューの方が、作品にようやく追い付いたという感じ」と笑った。

■映像を志す学生へ

 各章の終わりには、かなり詳細に本文中の注釈が付けられている。これは、インタビュアーの提案だったという。

 「完成したものを見てみると、すごく良かった。今回、誰に向けて作った本ということが明確にあるわけではないのですが、映像を志す学生たちにとっては、いい本になったんじゃないかと思います」

 確かに、終章のタイトルは「これから『撮る』人たちへ」。国内外で活躍する是枝監督の言葉は、監督を目指す人たちへの指針となるはずだ。

 「この本を作るにあたって一番気を付けたのは、単なる自分語りの本にしないこと。この25年間のテレビ界と映画界の一つの資料になればと思っていました。これまではあまり『次世代に向けて』という気持ちはなかったんですが、最近は年齢のせいか、自分が関わったものを次に伝える義務があるとも考えるようになった。そのくらいの恩はこの世界から受けたと思うんです。読み返して感じたのは、本当に人に恵まれていたということ。そのご恩返しのつもりなのかな」

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最終更新:9月15日(木)15時10分

スポーツ報知