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【社説】移民めぐる日本から英国への助言、聞くべきは日本

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月15日(木)13時32分配信

 日本は人口減少と景気低迷という問題を抱えているにもかかわらず、移民の受け入れを拡大する必要性を認めたがらない。だから今月、日本企業が外国からの熟練、非熟練労働者の受け入れを強く訴えたことに頼もしさを感じた。それだけではない。政府はその訴えに耳を傾け、支持したのである。

 ただし問題が1つある。この処方箋が英国に向けたものであり、日本に向けたものではないということだ。

 日本政府は今月2日、英国の欧州連合(EU)離脱に関連して15ページにわたる公開書簡を発表し、英国内で活動する日本の投資家の懸念を伝えた。熟練労働者について日本政府は、EU市民の移動の自由を維持することと、EU域外からの労働者の扱いを自由化することを要請。書簡は「特に企業内転勤については、英国での事業における人材の安定的な配置のため、査証の取得や延長の要件を緩和すべきである」と指摘した。

 また「単純労働者に関しても、英国の製造業、農業等では東欧の安価な労働力に依存している面もあり、これら労働力確保が困難となれば、労働力不足や労働コストの上昇を通じて、商品コストの上昇につながりかねない」と述べている。

 英国にとって賢明な助言だが、移民を自由化すべき理由があるのは日本の方である。日本では、建設や飲食、医療といった業界で深刻な労働力不足が起きている。これら業界の低賃金かつ難しい仕事を引き受けたがる人が少ないからだ。

 日本は研修制度などの仕組みを通じ、若干の外国人労働者の入国を認めてはいる。ただ、フィリピン人看護師は受験者の約90%が日本語での厳しい試験に合格することができず、受け入れ枠は達成されなかった。

 非熟練労働者の不足は経済全体の足を引っ張っている。2020年の東京五輪に向けた施設の建設も、建設作業員の不足が理由で遅れている。

 移民に反対する理由としてよく言われるものの1つに、移民を受け入れれば国内労働者の収入が落ち込むというものがある。 

 しかし英国では、ポーランド人やルーマニア人がやってきて、給仕をしたりコンクリートを流し込んだりするなかで国民は豊かになった。一方、ほぼ閉鎖状態にある日本では実質賃金が下がり続けている。

 移民に関する日本政府の助言を受け入れれば、安倍晋三首相の経済改革プログラムはもっと成功するのだが。

最終更新:9月15日(木)13時32分

ウォール・ストリート・ジャーナル