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パリのエスプリを街に/芸術家・山角さん、十和田で創作活動

Web東奥 9月15日(木)11時27分配信

 フランス・パリで映像と音楽を学んだ青年が、青森県十和田市の自然豊かな焼山地区で芸術活動を行っている。作曲家・アーティスト山角(やまかど)洋平さん(29)。8月18日からは山角さんの提案でフランスなどから3人が十和田を訪れ、同市初のアーティスト・イン・レジデンス(滞在型創作活動)が9月26日まで展開されている。山角さんの活動は広がりを見せ、パリ仕込みのセンスとエスプリがアートの街に彩りを加えようとしている。
 山角さんは神戸市出身。同志社大学卒業後に渡仏、パリ第8大学芸術学部映画学科を経て、ルマン高等芸術学校サウンドデザイン科修士課程を修了した。帰国後の2015年11月、十和田市の地域おこし協力隊員第1号に選ばれ同市に移り住んだ。応募の動機について「漠然と東北に興味があった。日本のことをあまり知らず、中でも東北は自分に一番遠かった。来る機会を求めていた」と語る。
 今年7月、十和田八幡平国立公園十和田八甲田地域指定80周年式典の会場で、十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会会長・小笠原哲男さんのメッセージ映像が流れた。山角さんが撮影を担当した。それまで山角さんが撮りためた八甲田の厳しくも美しい自然が大画面に映し出され、国立公園としての価値を出席者たちにあらためて印象付けた。
 8月26日、市現代美術館のcubeカフェ&ショップで音楽会が開かれた。演奏は山角さんと市招聘(しょうへい)の原口麻奈さん(29)=パリ、アントニー・マルツさん(29)=仏マルセイユ、武田真彦さん(29)=奈良市。仏の作曲家エリック・サティの現代版のような音楽は、主張せず会話の邪魔もしない。来訪者たちは心地よさげに思い思いの空間を楽しんだ。
 十和田で過ごし、四季が巡った。山角さんは「いいところ。自然も酒も周りの人も」と感じている。山角さんの存在について市観光推進課の浦田陽子課長補佐は「とても貴重」と表現する。「なぜ山角さんが好きこのんで焼山に来てくれたのか。自分たちが見落としている何かがあるのだろうと気付かされる」という。
 8月20日、音楽会「八甲田ミックス03」が焼山地区の奥入瀬渓流館であった。最後の作品は山角さんによる「会うべきものはいずれ会う」。十和田湖、奥入瀬川から太平洋に出る河口の両方でくんだ水を、無数のグラスに注ぎ混ぜていく。「始まりと終わりが同時に存在する不思議」(山角さん)を水を混ぜる時生まれる音で表現した。観客も参加し会場は一つになった。
 作品について多くを語らない山角さんに、印象的なタイトルについて尋ねると「聴きに来てくれた人たちとの出会いの比喩」とやや照れながら答えてくれた。それは、十和田の人や街、自然との出会いに対する感謝でもある。

東奥日報社

最終更新:9月15日(木)11時27分

Web東奥