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多国籍企業の課税逃れ…国際ルールでは対応できず 巧妙化する節税策

SankeiBiz 9月17日(土)8時15分配信

 東京国税局から源泉所得税の徴収漏れを指摘されたアップル子会社の日本法人、iTunesは、外国法人に支払うソフトウエア使用料を別の名目で支払う形にして、日本で納税していなかった。「古典的でよくある手法」(財務省主税局幹部)で、特別な対策を講じなくても税務当局は対応できるという。

 ただ、多国籍企業による国境をまたいだ節税策は複雑・巧妙化しており、各国の税制や国際課税のルールでは対応しきれないのが実情だ。

 2010年以降、グーグルやスターバックスなど、欧米の多国籍企業による巨額の節税策が相次ぎ発覚。こうした動きが横行すれば、税収が落ち込むほか、納税者からの不公平感も高まり、税制への信頼が揺らぎかねない。

 経済協力開発機構(OECD)と20カ国・地域(G20)は、国境を越えた節税を連携して封じるための対抗策を議論している。昨年10月には、「BEPSプロジェクト」と呼ばれる15の共通ルールを策定した。

 グループ内の取引で知的財産権の移転や資金の貸し借りを操作し、法人税が低い国に利益を集めたりする行為に歯止めをかける仕組みなどが柱だ。参加国は先進国を中心に46カ国だったが「パナマ文書問題」で課税逃れ対策の重要性が高まる中、7月以降に39カ国が加わっており、年内にも100を超える見通しだ。

 今後は、参加国がルールに沿って国内制度を整備する段階に入る。日本でも海外子会社に対する課税強化などを17年度税制改正で実施する予定だ。

 だが、包囲網が広がる分、税制や税務当局の体制にばらつきがある各国が同じようにルールを守れるかは未知数だ。体制が不十分な新興国に対して支援を行うなど、継続して新たな枠組みの実効性を高めていくことが、多国籍企業の課税逃れを封じ込める鍵を握る。(万福博之)

最終更新:9月17日(土)8時15分

SankeiBiz