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医師が解説「マスクでウイルス感染は防げるのか?」

All About 9月16日(金)21時45分配信

■ウイルスはマスクを通り抜けてしまうのか?
ウイルスがマスクを通り抜けるということは、イメージしにくいかもしれません。しかし、スーパーカミオカンデで測定しているニュートリノが、難なく地球を通りに抜けているということを考えると、ウイルスがマスクを通り抜けるということも考えられなくはありません。

ここでは、「金魚すくい」にたとえて、「ウイルス」と「マスクの穴」の関係について考えてみたいと思います。

■「ウイルス」と「マスクの穴」の関係を金魚すくいにたとえると……
ウイルスにもいろいろありますが、一般的なウイルスとして、インフルエンザウイルスで考えてみましょう。

インフルエンザウイルスの大きさは0.1μm(マイクロメートル)、一般的なマスクの穴の大きさは5μmとなっています。ちなみに、1μmは1mmの1000分の1です。インフルエンザウイルスとマスクの穴の大きさの差はじつに50倍。

「金魚すくい」にたとえて、ウイルスを「金魚」、マスクの穴を「金魚すくいポイ」(金魚すくいの網)とすると、4cmの金魚をすくうのに、それに対応する金魚すくいポイの大きさは4cm×50倍の200cm(=2m)になります。しかも、この金魚すくいポイは紙が貼っていない“ただの枠”です。

この巨大な金魚すくいポイでは、何回やってもウイルスという金魚をすくうことは難しいとおわかりでしょう。通常のウイルスは0.3μm以下であり、マスクの穴ぐらいなんなくすり抜けてしまいます。ノロウイルスはさらに小さく、0.03μmしかありません。

それに対して、スギ花粉は30μm、非常に小さいとされている粒子状物質PM2.5でも2.5μmもあります。インフルエンザウイルスを4cmの「金魚」とすると、PM2.5は1mの「ブリ」、スギ花粉は12mの「ジンベイザメ」ほどの大きさになるのです。比べてみると、ウイルスはかなり小さいですね。

■マスクを過信せずに他の感染対策も
マスクは、感染予防に関してはそこまで期待はできないものの、咳エチケットとしては有効です。というのも、咳をした際のウイルスは唾液と共に飛散するからです。唾液の大きさは5μmになるため、マスクにより感染機会を減少させることが可能です。

厚生労働省が作成した「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」にも以下のように記載されています。

●感染防止
発症した者がマスクをすることによって他の者への感染機会を減少させる効果は認められており、自らが発症した場合にはマスクは着用することが必要である。他方、まだ感染していない者がウイルスの吸い込みを完全に防ぐという明確な科学的根拠はないため、マスクを着用することのみによる防御を過信せず、手洗いの励行や人混みを避けることなどの他の感染対策も講じる必要がある。

「新型インフルエンザ等対策ガイドライン(平成25年6月26日作成 平成28年3月25日 一部改定)」より

欧米では日本のような文化がないため、症状もないのにマスクをしていると重病人と勘違いされることもあるようです。ガイドラインにもあるように、感染防止にはマスクを過信せず、手洗いや人ごみを避けるなど他の感染対策も必要といえるでしょう。


文・今村 甲彦(All About 医療情報・ニュース)

今村 甲彦

最終更新:9月16日(金)21時45分

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