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<指定避難所>3割が未完了 「東日本」被災3県の市町村

毎日新聞 9月16日(金)2時28分配信

 東日本大震災後の法改正で3年前から自治体に義務化された「指定避難所」の設置について、被災3県沿岸部の市町村の約3割が完了していないことが毎日新聞のアンケートで分かった。津波被害が特に大きかった宮城県に多く、復興事業の遅れなどから安全な土地や建物の確保に苦慮している。

 アンケートは岩手、宮城、福島3県の沿岸部37市町村を対象とし、台風10号で大きな被害が出た岩手県4市町村を除く33市町村から回答を得た。福島第1原発事故に伴う全域避難中の福島県4町は指定作業が始まっておらず、集計から除外した。

 東日本大震災時、当時の避難所が多数被災し、犠牲者も出た。これを教訓に2013年6月、災害対策基本法が改正され、自治体は、発生時に危険から逃れるための「指定緊急避難場所」と、被災者がしばらく生活する「指定避難所」をそれぞれ指定し、住民に周知するよう義務付けられた。

 「未完了」と回答したのは宮城6▽岩手2▽福島0。このうち、震災で当時46あった避難所のうち24が津波被害で閉鎖した宮城県南三陸町は、指定済みの施設が11にとどまる。津波被害を免れた施設でも老朽化や耐震性の観点から指定を外した上に街づくり自体が遅れているためだ。担当者は「高台移転による市街地造成に合わせ、随時、指定していく」と話している。

 同様に震災時に64あった避難所のうち40が閉鎖した同県女川町は、残った24を指定避難所としている。今年度中に新たに複数の施設を指定する予定だが「平地は浸水域が多く、かといって簡単に山を切り崩すわけにもいかない。震災前の数に戻すのは厳しい」としている。

 同県石巻市は指定を完了したが、震災時に271あった避難所が100に減った。担当者は「物資輸送のしやすさなどの条件が課され、適した施設は限定される。高台移転で住宅地の安全性が高まり、必要数が減少したことも要因」と説明している。【垂水友里香、鈴木梢】

 ◇熊本地震 48カ所が閉鎖

 熊本地震によって全壊と半壊の建物が計300棟以上あった熊本県内の15市町村にもアンケートしたところ、地震発生時に575カ所あった指定避難所のうち48カ所が、地震で被害を受け閉鎖されていた。市町村別では、八代市の7カ所が最も多く、熊本市、合志(こうし)市、益城(ましき)町(各6カ所)、菊陽町(5カ所)と続いた。

 閉鎖理由は、地震の揺れによる天井材や壁の落下、破損など非構造部材に関するものが計32カ所と最も多く、建物本体に比べ耐震化が遅れている非構造部材の対策の必要性が示された。スプリンクラーの破損(合志市)や建物の傾き(甲佐町)、庁舎の代替施設として使用するため(大津町)などの例もあった。

 益城町や菊陽町は3割以上の指定避難所が閉鎖された一方、南阿蘇村と西原村の閉鎖はなかった。南阿蘇村は3村が合併して村が発足した2005年以降、指定避難所となるケースが多い学校施設の耐震化を進め、非構造部材の耐震対策も10年までにほぼ終えていた。【山下俊輔】

最終更新:9月16日(金)3時4分

毎日新聞