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浜松の三ケ日西小「自転車部」、「交通安全全国大会」悲願の初優勝

産経新聞 9月16日(金)7時55分配信

 ■厳しい練習乗り越え事故防止啓発

 浜松市北区の市立三ケ日西小学校では、全国的にも珍しい常設の「自転車部」が活動している。先月東京都内で開催された、自転車の安全運転技術を競う「第51回交通安全子供自転車全国大会」では、4度目の挑戦で悲願の団体初優勝を果たした。小学校の部活でありながら、週5日の練習に加えて学科試験の勉強もこなすなど、体育会系の部活も顔負けのハードさだ。

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 体育館のフロアに110~120センチの間隔で並べられたピン。自転車でその隙間を縫ってすり抜け、両端の線を越さないように走行の正確さを競う。全国大会の実技試験の中でも最難関の「ジグザグ走行」の練習で、ブレーキで微調整しながらコースを進む子供たちの目は真剣そのものだ。

 平日に週5日活動する同校自転車部の練習は、毎朝7時半の“朝練”から始まる。同級生たちがボール遊びをする隣で、昼休みや放課後の2時間も使ってみっちり特訓。ジグザグ走行や10メートルを25秒以上かけて走行する遅乗り、デコボコ道の走行練習などを繰り返す。自宅に帰ってからも学科試験の勉強と、頭も体もフル稼働させる毎日だ。

 過酷な部活ゆえに退部者も多く、新入部員が入った直後の今年1月には14人だった部員数が、今では8人にまで減少。うまく自転車を乗りこなすことができず、泣き出してしまう部員もいた。だからこそ、現在まで残ったのは百戦錬磨の強者揃い。全国優勝を目標に掲げ、部長の宮下裕衣さん(12)は指導する交通安全指導員に「もっと厳しくしてください」と自ら申し出た。その練習の成果を、先月の全国大会で団体初優勝という最高の形で披露することができた。

 県交通安全協会細江支部によると、「少なくとも40年前からあった」というほど同校の自転車部の歴史は古い。昭和41年に全国大会が初開催されて全国の小学校に出場要請が出されると、当時は部活動が盛んだったこともあり、同校で常設の自転車部が誕生したと推測されている。全国大会には一時1500超のチームが参加していたが、今年は1178チームの参加にとどまり、年々減少する傾向に。県内でも常設の自転車部があるのは、同校と浜松市立平山小学校の2校のみだ。

 ただ、電車などの公共交通網がカバーする範囲が狭い本県は、中高生の通学で自転車が多用されている。悪質な違反者に講習を課す「自転車運転者講習制度」が導入された昨年6月からの1年間で、県内で摘発された自転車の危険行為は499件。全体の43%(217件)を中高生が占めており、そのうち151件が通学中の違反だった。

 こうした事態を踏まえ、浜松市教育委員会では地区ごとに交通安全教育のモデル校を指定し、小学生からの交通教育に力を入れている。

 大会を主催する全日本交通安全協会の担当者は「小学生にとって自転車は一番身近な乗り物だが、行動範囲が広がることで交通事故の危険性も高まる。大会を通じて交通ルールを身につけ、事故防止につなげてほしい」と話している。

最終更新:9月16日(金)7時55分

産経新聞