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ロイター企業調査:日銀緩和で市場不安定化、マイナス金利の活用限定的

ロイター 9月16日(金)10時4分配信

[東京 16日 ロイター] - 9月のロイター企業調査によると、日銀の過去3年余りの大規模緩和の影響として「金融市場の不安定化」を挙げた企業が4割を占め、「資金調達コストの低下」を挙げた企業を上回った。

マイナス金利導入による調達コスト削減分の活用については、設備投資やM&A(合併・買収)、新規事業展開に充てるという企業と、現預金で保有、あるいは債務返済、自社株買いなどに充て、投資には回さないという企業に分かれた。

この調査は、資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に8月30日─9月12日に実施した。回答社数は250社程度。

<収益メリットよりも、金融市場不安定化を問題視>

日銀は20─21日の金融政策決定会合でこれまでの緩和政策の総括検証を行う。過去3年余りの大規模緩和の効果・副作用としては、4割の企業が「金融市場の不安定化」を指摘。政策依存や歪みが強まったこと、財政規律が弛緩したことなどの副作用を挙げる企業がそれぞれ2割を超えた。物価2%目標達成に近づく効果があったとする企業はほとんどなかった。

円安による収益拡大(25%)、金利低下による資金調達コスト低下(36%)などの1次的効果はメリットとなったが、経済や金融市場といった外部環境の改善を伴う効果はあまりなかったようだ。

マイナス金利に伴う資金調達コスト低下で得られる資金の使い道を複数回答で聞いたところ、設備投資が36%と最も多くなった一方で、預金のまま維持が30%、債務返済が17%、現金保有が12%と続き、コスト削減効果がそのまま投資に回らない姿も浮き彫りになった。新規事業展開は9%、M&Aが9%、賃上げは2%にとどまった。

企業からは、「設備投資などの資金調達が楽になる」(非鉄金属)との声がある一方で、「そもそも成果が出るほどの影響はない」(鉄鋼)、「調達コスト低下といっても数百万円程度のため、預金保有となるだろう」(金属)、「これ以上の金融緩和は不要。設備投資等については事業状況を考慮した内容にとどめている」(サービス)といった声も多い。

<1ドル100円割れの円高、業績下方修正の分かれ目に>

為替相場がどの程度の水準になったら今年度業績見通しの修正が必要になるか聞いたところ、1ドル100円を割り込むと下方修正となる企業が一気に増えることが明らかになった。95─100円の推移となると全体の23%の企業が、90─95円では19%が、90円より円高では21%の企業が下方修正を余儀なくされる。

逆に1ドル110円より円安となった場合には、半数の51%が上方修正となると回答した。

自動車産業からは「変動幅が同じでも、短期間での急激な変動は業績への影響が大きい」との声が聞かれる。電機は「120円とは言わないが、110円より円安で定着するとありがたい」といった相場感が目立つ。

「105円程度で安定してほしい」(化学)との声もある。

人手不足が深刻化するもとで、今後検討しようとしている対応策としては、55%の企業が定年延長を挙げた。次にITやロボット活用による自動化が33%。正社員の賃上げ(27%)と非正規社員の賃上げ(17%)が続いた。

外国人の採用には消極的な姿が浮き彫りとなった。移民受け入れを含めて外国人単純労働者の正式採用を挙げたのは6%、外国人管理職採用は4%にとどまった。

その他として「女性の活用推進」を挙げた企業も多かった。

(中川泉 梶本哲史 編集:石田仁志)

最終更新:9月16日(金)10時11分

ロイター