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専門知識なくても容易にメッシュ構築を、マクニカ

EE Times Japan 9/16(金) 11:40配信

■屋内環境のモニタリングの事前検証を

 マクニカは2016年9月7日、信頼性の高いメッシュネットワークを容易に構築できる「Mpression IoTメッシュネットワーク・スターターキット」の発売を開始した。同キットは、親機となるLinear TechnologyのUSBネットワークマネジャー「DC2274A」と、子機であるマクニカ開発の無線センサー端末「EH-Terminal-B」を5台、PC上でログを取得するためのWindowsアプリケーション「Data Lpgger」で構成されている。

【マクニカが提案するIoTシステム】

 子機のEH-Terminal-Bは、Texas Instrumentsの照度センサー「OPT3001」、Silicon Labsの温湿度センサー「Si7021」を搭載。無線通信は、Linear TechnologyのDust Networks(SmartMesh IP)を活用している。同キットでは照度、温度、湿度を定期的にモニタリングすることが可能となっている。

 EH-Terminal-Bは、単四形アルカリ乾電池2個で動作し、30秒に1回の通信で1年程度の寿命を持つ。オプションで、色素増感太陽電池で動作する子機も選択することも可能だ。使用温度範囲は0~50℃。オフィスや工場などの屋内環境におけるモニタリング機器を導入する際の小規模な事前検証を短期間、低予算で実施できるという。

■スイッチを入れるだけ?

 同キットを発案、開発したマクニカの子会社であるアルティマ第2統括部の技術2部で部長代理を務める甲斐田陽一氏は、「メッシュネットワークは、普及の段階にまだ来ていない。これからはやると思うが、疑心暗鬼になっている人もいるだろう。同キットを活用することで、ワンパッケージで手軽に体験できる」と語る。

 同キットを活用するまでに必要な流れは、PCに必要なソフトウェアをダウンロード、PCに親機をUSB接続、子機のメインスイッチを入れるだけである。この3つの作業だけで、勝手にメッシュネットワークが構築され、親機にデータが集まり始めるのだ。

 取得したデータは、Data Lpggerを通してテキストベースでモニタリングできる。マクニカ子会社であるマクニカ・ネットワークスが取り扱うSplunkのデータ分析プラットフォーム「Splunk」を連携することで、データの可視化が可能になる。

 無線通信にDust Networksを用いた理由については、「ネットワークの可視化などができるPC用のアプリケーション『StarGazer』が提供されており、事前の設定において手間が掛からない。また、ネットワークの時刻同期により消費電力を抑えられることや、産業向けのため通信の接続信頼性が非常に高いことが挙げられる」(甲斐田氏)とした。

 同キットの価格はオープンとなっている。販売は、アルティマが行うとしている。

■技術ブランド「Mpression」とは

 取材では、マクニカのイノベーション推進統括部のMpression推進部で部長を務める米内慶太氏にも話を聞くことができた。Mpressionは同社のオリジナル技術ブランドであり、マクニカグループ各社が開発したソフトウェア、プラットフォーム、評価ボードなどを結集した総合的な技術ソリューションを指す。

 そのコンセプトは、顧客のイノベーション・課題解決を加速すること。米内氏は、「ここでいう課題解決は、単なる技術サポートや評価ボードの提供にはとどまらない。今までの技術商社は、当社も含めて半導体デバイスを売るという“モノ”にフォーカスしてきた。しかし、これから、課題を解決する“コト”にシフトしなければならない」と語る。そこで、同社はMpressionの定義を広げてきたという。

 メイカーズ向けにプロトタイピングキットを提供する「Mpression for MAKERS」では、2016年2月からVIAOと協業してハードウェア量産化支援を開始するなど、サービスの拡張を行っている。また、マクニカ・ネットワークが提供するサイバーセキュリティにおける取り組みの強化も行ってきた。IoTも、Mpressionで注力する分野の1つとする。

 「IoTは各社が取り組みを始めているが、言葉自体が大きく拡散している。顧客もIoTを導入しなければならない意識はあるが、迷いながら進めているため、“どうしていいか分からない”ケースが多い。IoTの答えは1つではないと思っている。Mpressionでは、当社のソリューションを用いることで、IoTの実現可能性を提示するPoC(Proof of Concept:概念実証)打ち出すことで、顧客の選択肢を広げていく。自動車でいう“ショーモデル”であり、“IoTでは○○ができる”といった概念の部分である」(米内氏)

 マクニカは、IoTを全面導入する前に、課題解決にそれが適合しているか事前検証を行うフェーズ(PoP:Proof of Practice)も必要と考えた。全工場にIoTシステムを導入するとなると、多くの時間と投資が掛かってしまうため、PoCだけでは顧客の課題解決ができないと判断したためだ。今回発表したキットも、以前からPoCとして概念を打ち出してはいたが、実際にキットを購入し、メッシュネットワーク構築の事前検証ができるPoPの1つとして新たに展開した。

 マクニカは今後、PoCとPoP双方に向けた製品を拡充することで、顧客の課題を解決するための選択肢を広げていく。2016年度中には、新製品を2つ発表する予定とした。

最終更新:9/16(金) 11:40

EE Times Japan