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<タクシー>「防犯仕切り板」少なく 鹿角・運転手強殺1年

毎日新聞 9月16日(金)11時0分配信

 秋田県鹿角市の道の駅で昨年9月に起こったタクシー運転手強盗殺人事件は、タクシーの「防犯仕切り板」の普及が進んでいない実態を浮き彫りにした。事件から1年あまり。依然として、県内タクシー業界における設置率は低迷したままだ。業界団体によると、運転手側が反対するからだという。だが、労働組合の関係者は訴える。「我々の命を守ってほしい」【山本康介】

 事件は昨年9月5日夜、「道の駅かづの」で、停車しているタクシーの近くで男性タクシー運転手が血を流して倒れているのが見つかり、最後の乗客となった男が強盗殺人容疑で逮捕された。

 防犯カメラの映像は、無防備な運転席はいかに危険かを如実に示した。男性は、後部座席から小刀で切りつけられ、後部座席に引きずり込まれるなどした。男性のタクシー会社によると、男性は数日前、「ひびが入った」と言ってアクリル製の防犯仕切り板を取り外していたという。

 県ハイヤー協会によると、今年3月末時点で、加盟83社のタクシー計1238台のうち、防犯仕切り板を設置しているのは343台(27.7%)。5年前は1442台中345台の設置(23.9%)で、大差はない。

 協会は、設置率が伸び悩む理由として、運転手側から、乗客との会話を妨げる▽空調の効きが悪くなる▽閉塞(へいそく)感があり、運転しづらい--といった反対意見があると説明する。

 ただ、県内のタクシー運転手らでつくる全国自動車交通労働組合連合会(全自交)秋田地方連合会の関係者は「そんな意見が全てではないのだが」と首をかしげる。

 組合側は事件後、協会と国土交通省の東北運輸局秋田運輸支局に宛てて、防犯仕切り板の普及を含む防犯体制強化を要請する書面を提出した。事件後、組合員から「夜の運転が怖い」「見知らぬ客を乗せるのはおっくうだ」といった声が相次いだためだ。

 連合会の鈴木和彦書記長は「業界の売り上げは右肩下がり。一方で電波法改正に伴う無線のデジタル化を進めなければならず、防犯に資金を回す余裕がないのだろう」と指摘する。「我々の命を守るため、一刻も早く安全対策を進めてほしい」と切望する。

 ◇酔客に殴られ設置

 タクシー会社の中には、別のきっかけで、防犯仕切り板の設置に踏み切った会社もある。あきた県都交通(秋田市寺内堂ノ沢1)は14日、タクシー14台にプラスチック製の仕切り板を取り付けた。

 1台当たり7000円。今月3日、酔った男性客に運転手が殴られたためだという。照井由輝社長は昨年の事件について「よそ事だと思っていた。怠慢だった」と打ち明ける。「サービスと安全運転の向上はもちろん、少しでも安全を確保する努力をしなければ」

最終更新:9月16日(金)11時4分

毎日新聞

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