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【キラリ甲信越】八ケ岳産野菜 ブランド確立へ 若手農家グループ「のらごころ」

産経新聞 9月16日(金)7時55分配信

 八ケ岳南麓の北杜、韮崎両市で無農薬野菜などの栽培に取り組む20~40代の若手農家14戸のグループ「のらごころ」。発足から3年、宅配やスーパー、飲食店舗などへの野菜の共同出荷に加え、農業技術・ノウハウの交換、農業体験や食育などを通じ「ブランド力」を高めている。 (松田宗弘)

 ◆顧客に浸透

 北杜市大泉町谷戸のスーパー「ひまわり市場」に3年前、「のらごころ」の特設コーナーが設置された。社長の那波(なわ)秀和氏は店内で自らマイクを握り、毎日、行う商品PRの中で、「のらごころ」を随時、取り上げるなど、買い物客へ浸透してきているという。

 「当初、販売は一般の野菜に及ばなかったが、今は両者がほぼ肩を並べています。のらごころのロゴマークを見て『安心安全』と思って買われるお客さんも多く、地元スーパーとしても応援したい」と那波氏はブランド力の定着を認める。

 のらごころには、無農薬野菜の農家12戸、減農薬ブドウ農家1戸、同イチゴ農家1戸が参加。発足メンバーの1人で、地元出身の兼業農家の浅川裕介氏(35)は、就農目的で県外から来た若い人の姿をみて「新規農家と先輩農家との横のつながりがほしい。販売や農業技術で協力し合えるグループができないか」と思ったのが結成のきっかけだったと話す。

 ◆個々を尊重

 14戸の連携は緩やかだ。共同出荷では、のらごころ代表で柴田農園の柴田伊織氏(35)が宅配用「野菜BOX」を担当。数戸が協力し、旬の野菜8品目ほどを5~12月にかけ、数十件の固定客へ希望頻度に応じ定期的に届ける。1箱の代金は送料込み2626円で、販売エリアは関東、信越、中部などへ広がる。

 就農3年の柴田氏は「野菜BOXを立ち上げたのは、10年余のキャリアを持つメンバー。私たちはその基盤を引き継がせていただいた」と説明、のらごころならではのノウハウの伝承が垣間見えた。

 販路は安心・安全にこだわる県内や東京のレストラン、カフェなどへも少しずつ広げている。だが、「鎌倉野菜」など他県産が売れている激戦区の首都圏では拡販は厳しい。

 今春、のらごころに参画した飲食店向け西洋野菜を主力とする「ぼくらの農場」の石毛康高氏(35)は「東京などへ八ケ岳産のおいしくて安全な野菜を届けもっとブランド力を上げたい」と意欲を語る。

 一方、メンバーの活動は地域や消費者との連携も深めている。「自給農園めぐみの」など数戸では農業体験イベントを開催。柴田氏に農業をアドバイスした畑山農場では一般向けに家庭菜園講座を展開する。また、のらごころへ、農業学校などから研修依頼が舞い込むこともある。

 標高の高さと寒暖差という気候特性から、害虫に強く農薬に頼らない農業ができる八ケ岳南麓エリア。浅川氏は「個々の農家の力には限界がある。個々を尊重しながら、みんなで地域の農業を盛り上げ、この地に農業を残していきたい」と力を込めて語る。

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 ■のらごころ 参加14戸には経験3年ほどの新規参入組から、20年のベテランまでキャリアはさまざまだ。出身地も数名の地元以外は、北海道、東京、神奈川、埼玉、愛媛などに分散している。栽培品目は野菜農家の場合、約20から多い農場では80品目を超える。

最終更新:9月16日(金)7時55分

産経新聞