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LINE世代の若者はチームプレイが苦手?

ITmedia エンタープライズ 9/16(金) 12:43配信

わたし: チームビルディングか、うーん……。

A子: どうしたの? 難しい顔して。

わたし: ああ、えーと、明日の研修内容がチームビルディングなんだけどね。

A子: チーム、びるでぃんぐぅ? 何それ? チームでビルを作って遊ぶとか?

わたし: 新入社員研修で遊ぶわけないじゃないの。A子、チームビルディングって分からない?

A子: 初めて聞くわよ。なに? チームビルディングって。

 いよいよ明日は私の「なんちゃって講師」最終日、チームビルディングの研修だ。どんな内容にしようか悩んでいる私をさらに悩ませたのは、A子のこの一言。A子は「チームビルディング」という言葉を知らなかったのだ。

わたし: チームビルディングというのはね、えーと……。

 あれ? 説明しようとしても、上手く言葉にならない。チームをビルディングするのよ――だめだ。これじゃ説明になってない。

 何かヒントにならないかと辞書を引くと、広辞苑にも大辞泉にも「チームワーク」は載っていても「チームビルディング」が載っていなかった。えー! チームビルディングって、一般的な言葉じゃないの……?

 なんちゃって講師を依頼されてから、私なりに勉強してきて、いつの間にか「チームビルディング」という言葉に違和感がなくなっている私がいた。これって喜んでいいことなのだろうか。それとも……。

わたし: チームビルディングっていうのはね、個人がチームに所属したときに、チームの一員、メンバーとしての自覚を持ってもらうことで、チームが一丸となるための、なんだろう。心構えみたいなものかな……。

A子: ふうん。で、何するの?

わたし: まあ、演習をいろいろ。

A子: 1日遊べるんだぁー。

わたし: いやいや研修だから。演習の中でいろいろ学んでほしいのよ。

A子: 何を学べるの?

わたし: そこなのよね。昔はこういう研修なかったでしょ? だから、チームビルディングがどうして必要になったのかなって。それが分かると、どんな演習が効果的か、そこから何を新入社員たちが気付けるかと悩んでたのよ。

A子: ふーん。何だかイッパシの講師らしくなってるじゃない。でも確かに、私たちが新人のときにそんな研修はなかったわ。で、今の新人たちには学ばないと分からない何かがあるってことよねー。なんだろうねー。面白いねー。でも、私には分からないぃ~。

 そう言うだけ言って、A子は自分の席に戻っていった。分からないことが出てくると考えるのを放棄するのがA子だ。よくそれで今まで生きてこられたものだよ……。

 でも、いいことを言ってくれたぞ。私たちのときには、チームビルディングの研修ってのは確かになかったけど、チームというものはそのころからあったわけで。今の新入社員たちに必要なものがあるから、こういう研修ができたのよね。あまり真剣に考えたことないけど、きっとそういう視点って大事なのよ。

 チームというと、リーダーがいてメンバーがいて達成したい目標がある、そんなイメージかな。私が新入社員のころは、チームにはちゃんとした上司(マネジャー)とは別に、「俺様」的なボス役がいて、ほぼその人がリーダーになっていたわね。

 その他の人は必然的にメンバーになるけれど、メンバーはメンバーなりに、チームの目的を分かっていて、その目的を達成するために何らかの役割で関わっていたような気がする。もちろん、そうじゃない人もいるけれど……。

 今の彼らに、足りないものは何だろう。

 ま、悩んでいても仕方ない。ここは「えい、やぁ」でやるっきゃない。頑張ろう。講師が張り切ってやらないと講座がつまらなくなるもの。

●リーダー的な資質がない人はダメですか?

 次の日、チームビルディングの研修が始まって間もないころ。1人の新入社員がこんな問いを投げてきた。

新入社員E: 僕はリーダーとしてスキルも足りないし、みんなを引っ張っていくタイプじゃないし、言われたことしかできません。何していいか分からないときも多いし……。それってダメですよね。

わたし: ん!?

 突然、何を言い出すかと思ったら……。言いたいことは分かるけれど、これは質問? 単なるつぶやき(Twitterじゃあるまいし)? 駄目ですよね? って聞かれたら「そうじゃないよ」と答えるしかないのか? でもきっとそれだけじゃ、本人は納得しないだろうな。んー。

わたし: えーと。リーダーでないとダメだと思うの?

新入社員E: 判断が早くてぐいぐい引っ張っていく人が、会社に必要な人なんじゃないかなって思うんです。

わたし: いや、それもいいけど、そういう人ばっかりじゃ困るのよ。その判断についていく人もいないとね。

新入社員E: 僕はいつもついていくばかりなんです。「何か判断しろ」と言われても、なかなか判断できないんです。

 あらら。自分に自信がないタイプなのかな? でも、そういう人って意外に多そうだ。やればできるけど、間違えたらどうしよう、と思ったり、みんながついてこなかったらどうしよう、と思ったりして、なかなか判断ができない人。

 でも、リーダーシップを発揮するリーダーだけではチームは成立しない。メンバーシップを発揮する人たち――つまり、リーダー主導の下、リーダーや他のメンバーを助けたり、自分の役割をチームの目標達成と関連付けて行動できたりする人も必要なのだ。これがひいては「チームワーク」につながっていく。

 ここは彼一人で考えさせるより、これ自体をテーマにしてしまおう。Eくん、ナイスアシスト! それにしても、自分にスキルがないからか、投げかける系の講座が板についてきたわね、ホントに……。(後編に続く)

最終更新:9/16(金) 12:43

ITmedia エンタープライズ

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