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ロシア下院選 「赤いベルト」復活なるか 共産党、狙うは与党批判票

産経新聞 9月16日(金)7時55分配信

 18日に投票されるロシア下院選では、経済の低迷などを受け、政権与党「統一ロシア」に対する批判票が「親大統領野党」に流れるとみられている。中でも、大統領翼賛議会にあって政府には厳しい下院第2党の共産党が議席を伸ばせば、内閣退陣や閣僚の更迭を求める動きが強まる可能性がある。同党が攻勢をかけるシベリアの最大都市、ノボシビルスクから報告する。(ノボシビルスク 遠藤良介)

 日本の筑波研究学園都市が草創時のモデルとした学術拠点を擁するノボシビルスク。ロシア革命(1917年)を敢行した党派名にちなむボリシェビキ通りの共産党事務所で、同党候補者のアバラコフ議員は「赤いベルト」復活への意欲を熱く語った。「人々は展望を求めている。有権者との交流で手応えを感じており、選挙結果については楽観的だ」という。

 赤いベルトとは、ソ連崩壊後の90年代、ノボシビルスクやオムスク、イルクーツクと、シベリアを横断する形で共産党が席巻した現象を称したものだ。2000年に第1次プーチン政権が発足して以降は党勢が衰えたものの、ここにきて再び持ち直している。14年にノボシビルスクで「赤い市長」、15年にはイルクーツクで「赤い知事」が誕生した。

 「天然資源の国有化は主張しているが、財産私有は全く否定していないことに注意してほしい。逆に、民間事業の発展のために最も多くのことをしてきたのが共産党だ」。こう語るアバラコフ氏は「現在のわが党は、人の生活を重視する社会民主主義の政党だ」とし、党の“脱皮”が成功したことを力説する。

 1990年代と今とでは社会状況も全く異なる。当時のシベリアでは、急進的市場経済化によって国営企業の倒産や給与・年金の遅配が相次ぎ、ハイパーインフレで住民は生活苦にあえいだ。「90年代に共産党を支持していたのは、ソ連への郷愁を抱き、ソ連復活を願った人々だった」と地元メディアの調査部長、マズル氏(48)は解説する。

 これに対し、2010年頃からは、「最も組織された野党」「主義・主張をもった唯一の政党らしい政党」といった意味で共産党が得票を集めている。同じ批判票を投じるのなら、それが何らかの形で反映される所に入れよう-との心理が働いているのだ。

 マズル氏は下院選について、生活水準の低下や役人の腐敗などに対する反発から、統一ロシアは得票率を減らすだろうと予測。共産党がソ連の独裁者、スターリンの肖像画を選挙戦で使っていることや、共産党市長の行政に不満を抱く市民もいるが、総じて同党に勢いがあると見ている。

 もっとも、共産党は教育や保健・医療に関して閣僚を批判しても、大統領に矛先を向けることはない。ノボシビルスク市内では選挙関連の看板も少なく、市民の関心は大統領選に比べ低い。共産党もその支持者の多くも、プーチン大統領を頂点とする「体制」は壊すべきでないと考えている。

最終更新:9月16日(金)8時12分

産経新聞