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<パラ競泳>自閉症の田中康大 力泳、仲間に勇気

毎日新聞 9月16日(金)23時7分配信

 【リオデジャネイロ飯山太郎】17日の競泳男子200メートル個人メドレー(知的障害SM14)に、2012年ロンドン大会で日本初の知的障害者の金メダリストとなった田中康大(26)=あひるの会あかね園=が出場する。ロンドンで制した100メートル平泳ぎは今回4位だったが、活躍は同じ境遇の人々に勇気を与えている。

 千葉市の障害者スポーツ施設に田中の絵が飾られている。ロンドンで金メダルを獲得した頃のもので、目をつり上げて火を噴く竜が描かれている。母紀子さん(56)は「やるぞ、という気持ちの表れ。12年の6月ぐらいからイメージがあったみたい」と語る。

 田中は自閉症で、小学1年の時にプールで喜ぶ姿を見て紀子さんが水泳を始めさせた。国内外の大会で徐々に好成績を収めるようになり、ロンドンの100メートル平泳ぎは予選、決勝とも世界記録をマークした。

 その後はなかなかトップに立てない。世界選手権は13、15年とも2位。国内大会で敗れることもあった。心境が絵に表れることもあるため、紀子さんはしばしば田中に描かせる。近年は富士山など穏やかな題材が多く、紀子さんは「ロンドンの頃のようなギラギラしたものがない」と話す。

 ただ、田中の活躍は知的障害者スイマーを力づけた。リオでパラリンピックに初出場した自由形の宮崎哲(さとる)(24)=あいおいニッセイ同和損保=の母義恵さん(56)は「知的障害者もやればできるという自信を与えてくれた」と語る。

 日本競泳陣は今年3月のリオ大会代表選考会で、結果やタイムによる「一発選考」を初採用した。代表に決まった男子12人のうち、知的障害者が7人を占め、ロンドン大会の3人から増えた。リオ大会では男子100メートル背泳ぎで、津川拓也(24)=ANAウイングフェローズ・ヴイ王子=が銅メダルを獲得した。

 田中は14日の100メートル平泳ぎのレース後、「苦しかった」と力なく語った。17日のレースに期待がかかる。仲間たちに勇気を与えた金メダルの価値は、今も失われていない。

最終更新:9月16日(金)23時11分

毎日新聞