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<閣僚資産公開>復興相が東電株保有 副復興相も妻名義で

毎日新聞 9月16日(金)23時15分配信

 8月の内閣改造に伴う新任閣僚らの資産公開で、今村雅弘復興相(衆院比例九州)と橘慶一郎副復興相(衆院富山3区)が、本人や親族の名義で東京電力の株を保有していることが分かった。復興政策を担うトップとナンバー2がそろって東電から配当をもらう株主であることに、原発事故に今なお苦しむ福島から疑問の声が出ている。

 今村氏は、東電の持ち株会社である東京電力ホールディングス(HD)の株を自身の名義で8000株(時価総額約320万円)保有している。過去の資産公開などによると、今村氏は2009年の衆院選に当選した時点で4000株保有。その後、同年と翌年に2000株ずつ買った。16日、閣議後の記者会見で「事故前から保有し、資産として少しずつ買い増した。手をつけない、凍結ということで理解してもらうしかない」と説明。復興行政について毎日新聞の取材に「影響は一切ない」とした。

 政府は8月末、原発事故で汚染のひどい福島県の帰還困難区域のうち一部を除染し、避難指示を解除する方針を決めた。その整備費を東電と国のどちらが負担するか、関係省庁で今後議論して決める。会見でこの点を問われ、今村氏は「懸念を持たれないようやっていく」と述べた。

 一方、橘氏は東電HD900株(同約36万円)を妻名義で保有する。取材に「平成の初めごろに妻が祖母からもらった。復興政策に影響を及ぼすことはあり得ない」と話した。

 原発事故で今なお避難を強いられている福島県の住民らは、不信感をあらわにした。

 避難指示が来春解除される川俣町山木屋地区で、住民グループ代表を務める佐藤新一さん(83)は「中立性を欠く。復興庁は原発事故を起こした側と、避難者のどちらの味方をするつもりなのか」と語気を強めた。

 大熊町からいわき市の仮設住宅に避難している農業の三津間義一さん(62)も「復興庁は一日も早い古里への帰還を望んでいる避難者に寄り添う存在であるべきだ。東電株保有は法的に問題がなくても、倫理的にはどうか」と首をかしげた。

 被災自治体の首長も批判的だ。

 東電福島第1原発を抱え、全町避難を強いられる大熊町の渡辺利綱町長は「政策が東電に有利に進むようなことは許されない。大臣としての立場を十分に考え、原発の廃炉や復興を着実に進めるべきだ」とくぎを刺した。

 飯舘村の菅野典雄村長は「復興施策を担う人が東電の株主と聞いて、避難者はいい気持ちはしない。東電株を処分するのが一つのけじめだ」と指摘した。

 閣僚の株保有に法的な規制はなく、「大臣規範」(01年1月)で在任中は株売買の自粛を定めている。

 今村氏らの東電株保有について、市民団体「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之・神戸学院大教授は「違法ではないが、東電に有利な政策決定がなされた場合、国民は不審に思うだろう。信頼関係がないと行政は成り立たず、そこを軽視してはならない。株保有は分かっていたはずで任命する側も受けた側も見識が問われる」と指摘する。【山崎征克、関谷俊介、岸慶太】

最終更新:9月17日(土)5時23分

毎日新聞