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金曜日は午後3時に退社…「プレミアムフライデー」は果たして定着するのか?

産経新聞 9月17日(土)10時30分配信

 月末金曜の午後は「仕事をやめ、街へ出よう」。

 政府と経済界が、消費拡大への取り組みとして、今年末から月末金曜の午後、早期に退庁、退社することを促し、買い物や旅行などに充てる「プレミアムフライデー」の構想が検討されている。経団連などが立案し、政府と経済界がタッグを組むという異例の取り組みになる。同様の取り組みで先行したお隣の「あの国」で生じた課題を教訓に、単なる「安売りセール」にしない考えだ。

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 プレミアムフライデーでは、午後3時や正午に仕事を終える案が出ているが、ともかく早めに仕事を終えて、ショッピングや外食、旅行、趣味の時間に充てることなどを促進していく。

 経団連では「生活サービス委員会」の中にプロジェクトチームを設置。日本百貨店協会、日本ショッピングセンター協会、日本旅行業協会、ジャパンショッピングツーリズム協会など、消費や旅行、観光に関連する業界団体などが参加し、どういう取り組みが可能かを検討している。

 同時に、経団連では、経済同友会や日本商工会議所などと連携し、働き方改革として有給休暇の取得促進も進めている。プレミアムフライデーの金曜午後を活用して、翌週月曜に有休を取るようにすれば、3.5日の連休も可能になり、旅行などにも充てやすいとみている。経団連に加盟する大企業だけでなく、中小企業でも有休とプレミアムフライデーの連携を進めたいと考えているようだ。

 プレミアムフライデーに取り組むのは、国内の消費低迷が続くなか、打開策のひとつと位置付けているためだ。政府の平成32年をめどに、名目の国内総生産(GDP)600兆円経済の実現を目指している。現状の500兆円から100兆円の上積みを狙うものだ。これにはGDPの6割を占める個人消費を現在の300兆円から360兆円程度に引き上げることが欠かせないとされるが、消費の停滞感が強く、消費喚起策には、官民連携が必要だと考えている。

 その中で、政府では、官民あげてのプレミアムフライデーの取り組みで、「クールビズ」などのように定着させ、継続的な消費活性化につなげたいとしている。

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 もともと、プレミアムフライデーの原型といえるのが、米国の「ブラックフライデー」だ。消費喚起を狙って米国の感謝祭(11月第4木曜日)の翌日から、小売店が一斉に値下げをし、クリスマス商戦に向けたショッピングシーズンがスタートとなる。「黒字の金曜日」と称された流通イベントだ。

 実はお隣、韓国でも昨年、消費低迷の打開策として韓国版ブラックフライデー「コリアグランドセール」に取り組んだ。大手百貨店などが中心となり、秋季セールの実施時期を前倒し、中国の大型連休、「国慶節」にあわせて、10月1日から2週間実施された。参加店の売上高は前年同期比2割増と、一時的な消費活性化にはつながった。

 恒例化していくもようだが、割引に関する広告表示規制を緩和したことで、元の値段を高く表示するなど、怪しげな価格設定が横行し、消費者は不信感を募らせた。

 さらに現地報道によれば、関係者からは、品目や割引率は「例年の秋のセールと変わりない」とか、「小売店やメーカーにマージンを捨てろと押し付けるのも同然」という声が聞かれるなど、「セール=値引き」で、企業にとっては利益率の低下など“負の側面”を指摘する声も聞かれている。

 日本のプレミアムフライデーは、韓国の教訓を生かし、「セールによる値引き」をイメージさせないため、“プレミアム”を名称にするなど配慮している。また、内容としても、単純な値引きセールによる消費喚起に陥らないようにするとしており、「ワンランク上の消費行動」に動けるような取り組みにする。特に、単純な買い物ではなく、「モノからコト」への消費行動を引き起こしたい考えで、関連業界では議論を重ねている。

 日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは「日本経済の回復に個人消費が停滞から増加に動くことが非常に重要。その中で官民が一体感を持って、消費喚起に取り組むことは大きな意義がある」と評価する。しかし、流通業界の関係者からは、「日本の小売業はこれまで価格を引き下げることでしか、消費者を喚起できなかった。その中でプレミアムフライデーで成果をあげることは難しい」という。

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 実現するかどうかまだ先の読めないプレミアムフライデーだが、どういうメニューがそろえられるかが、成功のカギを握りそうだ。(平尾孝)

最終更新:9月17日(土)10時30分

産経新聞