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メルカリ、ランサーズ、さくらの社長が語る「創業期エンジニア採用」の秘訣とは

ReadWrite Japan 9月16日(金)22時30分配信

2/24(水)-3/1(火)の7日間、『イベント&コミュニティスペース dots.』にて、「dots. Conference Spring 2016」が開催された。

イベントテーマは、「〈 テクノロジー × ビジネス 〉で未来をつくる7日間」となっており、人工知能やヘルスケア、開発技術、Fintech、IoTなどといった分野の最前線で活躍しているスピーカーが自分の経験や現状をふまえて語りつくすといった内容だ。今回レポートするのは、テクノロジードリブンで進めるサービスづくりや組織づくりの秘訣、気を付けた方がいいことなどについて語られた回である。

セッションテーマは、「ビジネスモデルジェネレーション」。エンジニア出身の社長が生み出すサービスや組織には、どのような価値観や意思決定が反映されているのか。以下、対話形式でレポートしたい。


■初期エンジニアで会社の「レベル感」が決まる

-創業時のエンジニア採用はどうされてたんですか?

秋好氏:ランサーズ利用者の中にエンジニアの方もいたので、「一緒に作りましょう」とメルマガを送って応募があった20人のうち2-3人を採用するということもありました。初期の3年間は、創業者含めエンジニアしかいなかったので、初期からエンジニアにとってハッピーなことが全部揃っていましたね。

山田氏:創業者は3人ともエンジニア出身なんですが、実際にコードを書いていたエンジニアは他数名いました。僕はとにかく初期のエンジニアがとても大事だと思ってるんですよね。最初にいるエンジニアのレベルによって全体のレベル感が決まってくるので、これまで自分が会って優秀だと思った人に声をかけたり、Twitterで「エンジニア募集!」と発信して20人くらいと会って話したり、ウノウでエンジニアだった人を採用したりという感じですね。

田中氏:最初は完全に一人でやっていたんですが、途中クラスメイトにアルバイト料を払いながら手伝ってもらいました。そうやって進めていくなかで出会った優秀な人に株を渡して、2人で始めました。その後もいろいろな人に声をかけて、だいたい6人くらいでプログラムを書いていました。


-皆さんの会社はサービスも規模感も違うと思うんですが、「優秀なエンジニア」の定義はどのように捉えていますか?

秋好氏:ランサーズにおいて優秀なエンジニアというのは、「サービス愛がある人」ですね。具体的には、ユーザへの価値を第一に考えてプログラミングはその手段だと考えられる人、だと思っています。最近、開発合宿をしてそれをすごい感じたんですけど、たとえばそういう人に「好きなもの作っていいよ」って言うと、ランサーズが明日にも便利になるものを作ってくれたりするんですよね。

山田氏:創業者の2人を例にすると、一人はカバレッジが広くて新しいものが出たらとにかく触ってみるという人で、はじめて会ったときに「ただ者じゃないな」と感じました。もう一人は、どちらかというと深く知っているタイプ。「コンピュータはなぜ動くのか?」っていうのを知っているタイプなんですけど、もともと経営経験もあったのでコミュニケーション能力も高かったエンジニアですね。どちらのタイプも優秀だと思っています。

田中氏:「異常なまでの好奇心がある人」だと思いますね。スタートアップの時期って、“やる手段が決まってないけれどやらなければならないこと”が多いと思うんですよね。これはエンジニアに限らないんですけど、「できる確信はなくても約束して物事に取り組む人」というのがスタートアップにおいては重要だと思います。


■シェアリングエコノミーで変わる世界

-未経験エンジニアを採用してから教育することはありますか?

秋好氏:じつは、一人目の社員は弟なんですよ。彼はもともとデザイナーだったんですが、当時外注していた先のエンジニアが逃げてしまって困ったとき、PHPの本を3冊買ってあげて弟をエンジニアにしました。あまりおすすめはしませんが、いまは開発のリーダー的なポジションにいますよ。

山田氏:メルカリはそもそもいないですね。逆に、元エンジニアや元デザイナーで企画をいましている、という人が多いですね。

田中氏:昔は未経験でも採用せざるを得なかった状況でしたが、いまはしていないですね。運用の現場がどんどん自動化されているので、「サーバ設置できます」レベルだと仕事がなくなっているんですよね。これまではオペレーションだけできる人でも仕事があったわけですけど、今後はプログラミングもできないと厳しいと思っているので、経験者を採用するようになりました。


-創業したときは今後のインターネット世界の予想をふまえたサービスイメージがあったと思うのですが、当時と現在を比較してみてその変化についてはどう捉えていますか?

山田氏:メルカリを始めたのは3年くらい前ですが、思っていたよりも早く「シェアリングエコノミー」の世界が来ているという感覚がありますね。デバイスが変わったことによってCtoCのモデル、つまり個人対個人がつながりやすくなっていて。ぐんぐん普及しているなと思いますね。

田中氏:さくらは96年に創業してるのでGoogleより古いんですが、当時はWebがすごい広がるなと思っていたんですよ。当時、自分で立ち上げたサーバがあるんですが、秋葉原にあるインターネット体験コーナーでURLを打ったらレスポンスが返ってきまして。そのときの感動もあって「Webが世界をつなぐ」と感じました。
それまではインターネットは単なるテクノロジーとしか捉えていなかったんですが、インターネットの可能性に気付いたというか、n対nではなくて、n対サーバ対nとして今後20~30年くらいは無くならないだろうと思って創業しましたね。

秋好氏:2000年くらいにインターネットに出会って、それがランサーズの創業の背景でもあるんですよ。そのとき個人サイトを作っていたら、知らない人から同じものを作って欲しいと言われて作ったら5万貰えたんですよね。その自分の経験をもとに、「これプラットフォームにしたら働き方が変わるぜ」と思って立ち上げました。
最初の3年くらいは、「そんなリスクのある働き方を誰がするんですか」って言われ続けて、まったく使ってもらえなかったです。ただ、この2-3年でシェアリングエコノミーの普及もあって働き方も変わってきたなと肌感覚で感じますね。


■3社3様の価値観と組織づくり

-チームマネジメントをするうえで工夫されていることはありますか?

秋好氏:この会社ってどういう価値基準で意思決定していくんだっけという点に関しては、「ランサーズウェイ」というのを本にしていて全社で指針にしています。
あとエンジニアに関しては、ランサーズでは価値が高いけど市場価値は低いという人にしたくないと思っているので、“ランサーズにいることでエンジニアとしての市場価値も高くなる”ようなことを意識していますね。実際に他の言語を触ってもらったり。

山田氏:エンジニア出身の人が多いので、チーム内の空気はオープンな感じです。メルカリはPHPで開発しているんですが、ソウゾウという子会社はGoで開発していたりバックエンドはGoogle Cloud platformを使っていたりと、今後もさまざまな技術を使える会社にしていきたいとは思っています。

田中氏:さくらの場合、15年以上働いている人もいればここ5年以内に入った人もいるんですよね。なので、いろんな人が同じ価値観で働いてもらうために新しい人をどんどん採用してチームビルディングが必要なんだと認識させるようにしています。


-社内用のシステムで「こんな面白いもの作ってます」といったものはありますか?

山田氏:勝手にSlackが導入されたりとかはあったんですが、最近特に面白いなと思ったのは、勤怠管理を社内のWi-Fiに接続したら自動で出勤するシステムですね。個人的に作っている人がいるという感じですが。

田中氏:Slackを受け入れられるかどうかの文化の違いは、インターネットのリテラシーを判断する材料になりますよね。


-さいごに、エンジニアにとって働きやすい環境として推したい部分があれば教えてください。

山田氏:海外でチャレンジングにやりたい人には、いい環境だと思います。最低でも半年に1回くらいはアメリカに行ってもらっています。あと、現地でもカスタマーサポートを積極的に採用しているのでビザが出しやすいとは感じます。

秋好氏:ランサーズでは2つあると思っていて、自分たちが働き方を変えるんだと目指しているので在宅ワークも可能にしています。あとは、ユーザと距離がとても近いですね。ランサーズのユーザの方に頻繁に会社に来てもらったり直接会ったりと、直接的に反応をもらう機会は多いと思ってます。

田中氏:さくららしいところでいくと、自社サービスが無料で使えるところを推したいですね。一部の人はラックとか借りてるので。また、有給休暇を取ることを事前に言うとお小遣いがもらえる、なんていう制度があったりします。


-ありがとうございました。


エンジニアならではといった部分が多くある一方で、彼らの価値観や考え方はエンジニアのみの共感に留まることなく、これからの時代を象徴するようなものだと感じる。これからの時代を牽引するイノベーター的存在は、まさにエンジニアなのではないだろうか。

【モデレーター】

株式会社コルク 佐渡島庸平(さどしま・ようへい)氏

【パネラー】

ランサーズ株式会社 代表取締役CEO 秋好陽介(あきよし・ようすけ)氏

株式会社メルカリ 代表取締役社長 山田進太郎(やまだ・しんたろう)氏

さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕(たなか・くにひろ)氏

ReadWrite[日本版]編集部

最終更新:9月16日(金)22時30分

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