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しつけ?虐待?専門家が語る境界線とは

ベネッセ 教育情報サイト 9/16(金) 14:00配信

子どもの虐待に関するニュースがあとを絶たない。加害者からは「しつけの一環だった」という声が聞かれることもあるが、本来、しつけと虐待はまったく異なるものだ。子どもの虐待事情に詳しい山梨県立大学教授の西澤哲氏に、その違いについて詳しく解説してもらった。

「しつけ」とは、子どもにセルフコントロール力(自己調整力)を身に付けさせるために行うものです。たとえば、生まれたばかりの赤ちゃんは「不快」な状態になると、保護者に泣いて知らせます。そこでミルクをあげたり、あやしたりすることで、赤ちゃんが「快」な状態になるように保護者が手助けしていくことが、しつけです。そうすることで、子どもは3歳位になると、嫌なことや気に入らないことがあっても、保護者が言葉で説明すれば、少しずつ自分で気持ちを落ち着かせるなどのセルフコントロールができるようになっていきます。



一方「虐待」とは、保護者が子どもを「利用」して、保護者の抱える心理・精神的問題を緩和・軽減することを意味します。たとえば、「言っても聞かない時には、たたいてでも」といって体罰をふるう人がいますが、子どものためではなく、自分自身のためにやっている保護者が大半だと思います。子どもに言うことを聞かせることで、「自分は親として適切にやれている」との安心感や有能感を得ているのです。

子どもを「厳しく叱る」「たたく」といった行為によって、いったんは子どもの行動をコントロールできるかもしれません。しかし、それは恐怖を与えているだけにすぎず、子どもは保護者からの強制、つまり他律性でしか動いていないのです。これでは自分で考えて動けるような子どもには育ちません。また、子どもは痛みや苦痛に慣れていくため、保護者は罰の頻度と強度を上げなければならなくなり、本来の「しつけ」とは逆の結果になります。罰は、しつけとは正反対のものなのです。

ベネッセ 教育情報サイト

最終更新:9/16(金) 14:00

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