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産業政策で“世耕色”じわり。中小対策でアベノミクス後押し

ニュースイッチ 9月16日(金)17時14分配信

大臣に就任して1カ月半で「世耕プラン」発表

 8月3日に発足した第3次安倍再改造内閣で経済産業大臣に就任した世耕弘成氏。長く官房副長官として安倍首相に寄り添いアベノミクスをPRしてきた。今度は産業政策のトップとして矢継ぎ早に事務方に指示を出している。

 その目玉の一つが15日の発表された下請け取引適正化に関する政策パッケージ。「未来志向型の取引慣行に向けて」と題し、通称「世耕プラン」と呼ばれるもの。同日、世耕経産相は日本自動車工業会(自工会)の西川廣人会長(日産自動車副会長)と懇談、下請けガイドラインの徹底を図り、3次、4次などサプライチェーンの末端まで浸透させるべく自主行動計画の策定を要請した。自工会では日本自動車部品工業会と連携し、年内に適正取引を浸透させる方向性を示すことになった。

 世耕経産相は「官民連携して取引条件を改善し、中小企業がしっかり利益を出し、それに基づき賃上げが行える環境をつくることが大変重要だ」と強調。西川自工会会長も「取引先との共存は当たり前。さらに付加価値を上げて基幹産業としての競争力向上につなげたい」と呼応した。

 政策パッケージの具体的内容は、一律何%の原価低減要請や労務費上昇が考慮されないなど合理的根拠のない価格決定方法の見直す。また、量産終了後に長期にわたり無償で金型保管を押しつけ、手形で支払いを受ける比率が高いなど、本来親事業者が負担すべき費用を押しつけることがないように徹底するのが柱。

 今後、下請代金法の改正を公正取引委員会にも要請する。さらに世耕経産相の意向を踏まえ、経産省・中小企業庁の事務方は下請中小企業振興法改正などにも踏み込む考え。

 幅広い下請け構造を持つ自動車業界を皮切りに、他業種にも自主行動計画策定とフォローアップを要請。16年度内に業種別下請けガイドラインを改訂し、適正な取引事例を追加する。

 世耕経産相は前日の14日には日本商工会議所の首脳・幹部と東京都内で会談。日商側は、人手不足の解消や生産性の向上といった課題のほか、地方の活性化に向けた支援策を要望。これに対し世耕経産相は「中小企業の経営力向上にしっかり取り組んでいく」と話し、継続的に支援策を実施していく考えを強調した。

 会談では、日商の首脳・幹部がサービス業を中心に地方で人手不足が深刻化している現状を説明。また、中小企業の生産性向上に向けてIoT(モノのインターネット)導入の重要性を指摘する意見が相次いだ。三村明夫会頭は会談後、「中小企業の課題に対して前向きな回答があった」と述べ、支援策の一層の強化に期待感を示した。

 世耕経産相は「特に地方は頑張っているが、報われる環境が整わない。従来の下請け取引関係で中小企業が泣く構造がある。ただ、中小企業の経営者も働き方を改革し、生産性の高い分野に労働力を移すことが必要。『アベノミクス』の効果を地方にしっかり波及させる」と意気込む。

 安倍首相から「成長戦略の切り込み隊長」と言われている世耕氏。本領発揮はこれからだ。

最終更新:9月16日(金)17時15分

ニュースイッチ