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厚木爆音訴訟 最高裁、10月末に弁論

カナロコ by 神奈川新聞 9月16日(金)16時35分配信

 在日米海軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(大和、綾瀬市)の航空機騒音を巡り、周辺住民が国に飛行差し止めや損害賠償などを求めた「厚木基地第4次爆音訴訟」で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は15日までに、双方の意見を聞く上告審弁論を10月31日に開くことを決めた。弁論は判断を変える際に必要な手続きで、自衛隊機の早朝、深夜の飛行差し止めを命じた2015年7月の東京高裁判決が見直される可能性がある。判決は年内にも言い渡される見通し。

 住民側は行政訴訟と民事訴訟で飛行差し止めを求め、15年7月の高裁判決は、行政訴訟で自衛隊機について今年末までの間、午後10時から翌日午前6時までの飛行差し止めを国に命じた。早朝、深夜の自衛隊機の飛行差し止めを高裁段階で命じたのは初めてで、民事訴訟で二審の結審から16年末まで将来分の賠償を命じたのも初めてだった。

 一方、騒音被害の大半を占める米軍機の飛行差し止め請求は「国の支配が及ばない」などとして、行政訴訟と民事訴訟ともに退けた。このため、国側と住民側はともに、敗訴部分の上告受理を申し立てていた。

 最高裁は、行政訴訟で飛行差し止め命令を不服とする国と、より長時間の飛行差し止めを求めた住民側の双方の上告を受理。また、民事訴訟で命じられた将来分の賠償についても、不服とする国側の上告を受理したという。

 10月31日の弁論では、住民側弁護団が意見陳述などを行う予定。弁護団の一人は「最高裁は行政訴訟の飛行差し止めで何らかの重要な判断を示すだろう」との見通しを示した。

 第4次訴訟は07年12月と08年4月に提訴し、周辺住民約7千人が原告となった。二審結審までの騒音被害分の賠償については、国が住民側に82億円の支払いを命じた高裁判決が確定している。

◆「大きな意義」不安も

 画期的とされた控訴審判決から1年3カ月。厚木基地第4次爆音訴訟は、新たな局面を迎える。米軍機の飛行差し止めを求め続ける訴訟団にとって、最高裁で弁論が開かれるのは第1次訴訟以来の念願である一方、原告一部勝訴の判決が覆される可能性もある。訴訟団に、期待と不安が入り交じる。

 14日午前7時半。最高裁西門前に訴訟団の10人ほどが集まった。250万人が周辺に暮らす米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)の航空機被害を、出勤する職員に伝えるためだ。電子戦機による金属部品落下(2012年2月)や、空母艦載ヘリの不時着(13年12月)など近年も相次ぐ事故をまとめたビラ350枚を、1時間半で配り切った。

 東京高裁の控訴審判決(15年7月)は、自衛隊機の限定的な飛行差し止めを高裁段階で初めて認めたが、最大の騒音発生源である戦闘攻撃機を含む米軍機については訴えを退けた。訴訟団は騒音の根本的な解消を求めて上告し、この門前活動を今年6月から続ける。最高裁で意見を主張できる弁論が開かれるのは極めてまれで、法廷外から関心を喚起する狙いだった。

 1976年に起こした第1次訴訟は上告審まで進展し、92年に最高裁小法廷で弁論が開かれたが、翌年の判決は自衛隊機と米軍機の飛行差し止め請求を棄却・却下した。第2次以降は控訴審にとどまり、最高裁で直(じか)に米軍機の騒音被害を訴える機会は実現していない。それだけに、原告団長の金子豊貴男・相模原市議(66)は「弁論が開かれること自体、大きな意義がある」と受け止める。

 一方で米軍機の飛行差し止めをかなえるには、第1次訴訟の判例変更が期待できる大法廷への回付が望ましい。現状で弁論は小法廷にとどまり、原告勝訴の控訴審判決が覆る可能性がある。訴訟団の一人は「風向きは怪しいかもしれない」とみる。

 控訴審判決は、自衛隊機の飛行差し止めのほか、将来の騒音被害による損害賠償の認定を「2016年12月31日まで」としていた。この判断は、騒音の軽減が見込める米軍機の岩国基地(山口県)移駐について、日米両政府が完了を「17年ごろまで」とした合意に基づいている。ただ、移駐はいまだ始まらず、17年以降の処遇について司法判断が待たれていた。

最終更新:9月16日(金)16時35分

カナロコ by 神奈川新聞