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マンション隣の喫煙所とのトラブル、岡本弁護士「内容証明郵便を送るなど対策が可能」

弁護士ドットコム 9/16(金) 17:20配信

自宅マンション隣の店舗が屋外に設置した簡易喫煙所からの煙に悩まされているので、撤去させられないか? そんな質問をもとに、弁護士ドットコムが記事(「マンション隣にできた「簡易喫煙所」から煙がモクモク、法的に対抗できる?」https://www.bengo4.com/internet/li_348/)を配信したところ、多くの反響がありました。

記事の中では、当事者間での話し合いをし、対応策を求めた結果として「相手方がこれ(不利益防止策)に応じない場合の最善策は、相談者がお引越しをされること」とする弁護士コメントを紹介しました。

ネット上では「じゃあ誰かが隣でずっと落ち葉燃やしてたらどうよ? 怒るでしょ? たばこはなんとなく許される意味がわからない」、「いっそのこと『喫煙者専用住居』にしてしまえばいいのにね」などの声もあがっています。

受動喫煙に関する紛争をあつかう岡本光樹弁護士は、「今回のようなケースでは、法的な対応はできる」として、次のような対処術を弁護士ドットコムに寄せました。

〈岡本弁護士が考える対処術〉

・弁護士から内容証明郵便を送る。協議・交渉に助力する。

・簡易裁判所の民事調停を利用する。

・訴訟提起によって、喫煙継続を抑止できる場合がある。

・訴訟上の和解による解決もあり得る。

・慰謝料の高額化の可能性もある。

以下に、岡本弁護士による対処術を詳しく紹介します。

● 弁護士から内容証明郵便を送る

当事者間の話し合い、管理会社を通した話し合いの次に何ができるのでしょうか。

実は「訴訟提起」だけでなく、検討すべき法的手段は複数あります。

まず、弁護士が受動喫煙被害者を代理して内容証明郵便を送るという方法があります。被害内容を具体的に特定し、要望内容を明確化し、また、喫煙継続の違法性に関する法的見解を伝えます。こうした形で、弁護士が、受動喫煙の被害者に助力することよって、解決につながることがあります。

実際、ご本人達がいくら繰り返し要望しても一切改善がみられなかった事案で、弁護士から内容証明を送った途端に、相手は要望内容を受け容れて喫煙所を撤去したという解決事案もありました。

● 民事調停を利用する

方法は、それだけではありません。

簡易裁判所の民事調停を活用するという方法もあります。当事者の直接の感情的な話し合いを避け、中立の第三者である調停委員に間に入って頂いて、裁判所という場所で話し合うという手段です。

ご本人達同士で、双方弁護士を使わず、調停を活用して和解が成立したという事例もありました。その場合、手続の費用はかなり低く抑えられます。

● 訴訟の活用

記事では、名古屋地裁平成24年12月13日判決の内容を紹介して、結論として、訴訟提起は費用対効果の観点からはお勧めできません、と結論付けています。名古屋地裁の判決は、訴訟提起前に既に喫煙が止んでいた事案です。

他の裁判事件として、店舗入口の喫煙灰皿を問題として路上通勤者が慰謝料請求した本人訴訟の事案で、訴訟提起後、第一回口頭弁論期日前に、被告店舗が当該灰皿を撤去したという事例もありました。

現実には、訴訟提起することによって抑止力がはたらき、被告が喫煙継続を止めるということがあります。裁判開始後も、裁判所の心証を気にせず開き直って喫煙を継続する被告というのは、そう多くないのではと推測します。

このような場合は、お金の問題ではなく、まさに被害者が求めている解決策が実現しているといえます。

● 慰謝料の額について

判例は不変の存在ではなく、新たな可能性があり得ます。

職場の受動喫煙に関する訴訟の慰謝料も、最初は5万円の認容額でした(東京地裁平成16年7月12日判決)。しかし、その後、職場の受動喫煙訴訟では、80万円(札幌簡裁)、700万円(札幌地裁滝川支部)、50万円(横浜地裁)、100万円(東京高裁)、350万円(大阪高裁)といった解決金も報道・公表されています。

事案によって幅があり、被害の状況や相手の不誠実さなどについて、詳細な検討が必要です。

● まとめ

ご相談の事例では、上記のとおり、

・弁護士から内容証明郵便を送る。協議・交渉に助力する。

・簡易裁判所の民事調停を利用する。

・訴訟提起によって、喫煙継続を抑止できる場合がある。

・訴訟上の和解による解決もあり得る。

・慰謝料の高額化の可能性もある。

等のアドバイスがあり得、その上で、それぞれの費用対効果や要する労力を検討して、どの手続きを選択するのか、しないのかという判断をすべきだと思います。

また、事案や相手によって、うまく行く場合、うまく行かない場合があり、勿論、うまく行かない場合も想定しておく必要があります。そうしたことを総合考慮して、相談者・依頼者の方がもっとも納得し得る結論を出すべきだと思います。

私としては、労力や負担の大きい訴訟提起は最終手段と考えて、安易にお勧めはせず、費用の低い、弁護士の内容証明郵便の送付をお勧めしています。

【取材協力弁護士】
岡本 光樹(おかもと こうき)弁護士
1982年岡山県生まれ。05年東大法卒、06年弁護士登録。国内最大手の法律事務所などを経て、11年に独立。企業法務や労働案件、受動喫煙に関する係争・訴訟、家事事件などを幅広く扱う。第二東京弁護士会で、人権擁護委・受動喫煙防止部会長、環境保全委・公害環境何でも110番部会などを務める。
事務所名:岡本総合法律事務所
事務所URL:http://okamoto.2-d.jp/akiba.html

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:9/16(金) 17:20

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