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<マザー・テレサ映画祭>列聖式撮影の千葉監督「この時代に必要な人」

毎日新聞 9月17日(土)10時0分配信

 ◇東京の映画祭でトークショー

 貧者の救済に尽力したノーベル平和賞受賞者のマザー・テレサ(1910~97年)がカトリック最高位の崇敬対象「聖人」に列せられ、バチカンで4日に列聖式が行われた。この式に参列した映画監督の千葉茂樹さん(83)のトークショーが10日、東京都目黒区の東京都写真美術館ホールで開催中の「マザー・テレサ映画祭」で行われ、千葉監督は「マザー・テレサはこの時代に必要な人だった」と話した。【西田佐保子】

 ◇インドで起きた奇跡

 千葉さんは、マザー・テレサに唯一ドキュメンタリー映画の撮影を許された日本人監督で、約30年間にわたって活動を追い、来日時の姿をカメラに収めた。今回の映画祭でも上映される「マザー・テレサとその世界」(79年)▽「マザー・テレサの祈り 生命(いのち)それは愛」(81年)▽「マザー・テレサと生きる」(2009年)の3作品を完成させている。

 千葉さんがマザー・テレサを撮るきっかけは、意外にも「身近な女性」だった。「ある日、妻がどうしてもマザー・テレサに会いたいと言い出した。当時マザー・テレサは日本では知られた存在ではなかったので、私は『その人は誰?』と質問した」

 マザー・テレサと、インドの最貧困地域、カルカッタ(現コルカタ)に興味を持った千葉さんは、シナリオライターとして所属していた映画会社「近代映画協会」の設立者の一人、新藤兼人監督に映画の企画を持ちかけた。マザー・テレサが開設した貧しく身寄りのない人の最期を看取るための施設「死を待つ人の家」の話をすると、新藤監督は「貧しい人がいるのは分かった。でも死を待つ人の家で人は救われるのか。そんなものがこの世にあること自体おかしい。そもそもうちには資金がないから実現不可能」と一蹴され、ショックを受けたという。

 その後、カトリックの修道会「女子パウロ会」のシスター白井詔子さんと出会い、映画製作の資金を折半することで合意。資金面の問題をクリアした上で、マザー・テレサとインド政府から撮影の許可を得た。

 しかし、アクシデントは発生した。映画撮影のためインドのインディラ・ガンディー国際空港に到着したところ、カメラマン二人が青い顔をして漏らした。「撮影機材が降りてこない」。次の日から撮影をスタートすると約束しており、カルカッタに向かって事情を説明した。すると、ニコニコしながらマザー・テレサは「一緒に祈りましょう」と告げた。教会に足を運んだこともないカメラマン二人は「祈れば本当にカメラが出てくるのか」と言いながらも祈ると、「カメラが見つかった」と空港から翌日連絡があったという。「カメラマンは『お祈りは効くね』と感心していた」と千葉さんは笑った。

 ◇貧しい人は私自身

 バチカンのサンピエトロ広場で4日に行われた列聖式には、世界中から約12万人もの参列者が集まった。その様子を撮影した映像をスクリーンに映しながら千葉さんは「マザー・テレサは、この時代に必要な人だったと強く感じた」と話し、「これは他の誰にも書けない言葉」と、マザー・テレサが貧しい人についてつづった文章を紹介した。

 「貧しい者は、物理的および精神的に困窮している人である。貧しい者は、空腹であり、乾いている人である。(中略)貧しい者は、見捨てられている人である。貧しい者は、ともかくも、私自身である」

 「マザー・テレサの祈り 生命それは愛」の中でも、東京・山谷に足を運んだマザー・テレサは、貧しいひとについて話している。千葉さんは「映画の中の山谷で働いて山谷で生涯を終える人たちの中に、私たち自身の姿を見る。そのような映画だと思う」と語った。

 ◇映画祭は30日まで

 マザー・テレサの活動を記録したドキュメンタリー映画7本を上映する「マザー・テレサ映画祭」は30日まで開催中(20日と26日は休演)。24日は午後0時15分スタートの「マザー・テレサの遺言」の上映後、こいずみゆりさん(音楽家)によるトークショーが開催される。公式サイトはhttp://www.motherteresa.co.jp/

最終更新:9月19日(月)17時21分

毎日新聞

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