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「貧困たたき」スマホもSNSも贅沢?〝ぱっと見〟で攻撃する危うさ

withnews 9月21日(水)7時0分配信

 NHKのニュース番組がきっかけで起きた「貧困たたき」。放送後、「捏造だ」「本当の貧困ではない」などの批判や中傷がネット上で相次ぎました。貧困研究の第一人者である日本女子大名誉教授の岩田正美さんは「貧困はスナップショットのような生活の一場面ではとらえられないものだ」と言います。

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「外食した日の翌日は1食抜いているかも」

―一連の問題をどう受け止めておられますか

 「まず前提として、この女子生徒と家族の暮らしがどうだったのかは、ネットに散らばる断片情報ではわからないし、判断はできません」

 「ただ例えば、ひとり親家庭の母親が、生活が苦しくても無理をして子どもに『いいもの』を着せていることがあります。それは子どもは普通にさせたい、仲間はずれになってほしくないという気持ちや、そういう買い物で、日頃の苦しい生活の鬱屈を晴らすといった行動の結果かも知れません。」

 「むろん、現代では衣類などは格安ショップなどで割と安く手に入るし、貧困状態になる前に購入していた家財もあるでしょう。外食した日の翌日は1食抜いて埋め合わせていることがあるかも知れません」

 「こうした場合、スナップショット的にとらえれば『貧困ではない』ように見えることがあります。しかし継続的に見てみると、生活が安定していないことが分かるかも知れません」

「特定の人の貧困テストをしてしまう」

――貧困の実態は「ぱっと見」ではとらえられないということでしょうか

 「表面から分からないことが多いでしょう。このところ『○○の貧困』という括りが広がっているので、何かあるとその枠にはめたがる傾向があります。他方で、そうするとその枠に当てはまるかどうかの白黒をつけようとします」

 「世間もメディアもある時点で、特定の人の貧困テストをしてしまうのです。もちろん、公的制度の利用においては、公式の判定プロセスがありますから、制度が決めた貧困は、そのプロセスによって明らかになります」

 「しかし実際には、貧困線を一本引くとして、その下だけが困窮していて、その上は全く困っていないということではありません。分厚いボーダーラインの不安定層があるのです。線というより帯のようなとらえ方をしたほうがよいかもしれません」

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最終更新:9月21日(水)7時0分

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