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<大阪地下鉄>市議会で論戦本格化 赤字線延伸「確約」焦点

毎日新聞 9月17日(土)0時49分配信

 ◇自民、基本方針案賛成の条件

 大阪市営地下鉄の民営化を巡る議論は、16日に開会した定例市議会で論戦が本格化する。最大の焦点は、赤字が続く今里筋線の延伸着工を市が「確約」するか。自民市議団は、継続審議となっている基本方針案に賛成する条件の一つとして、市が100億円以上を拠出して延伸のための基金を創設するよう求めた。吉村洋文市長は民営化実現に意欲をみせるが、延伸には約1400億円もの巨費が必要とされ、まずは市側の判断が注目される。

 大阪市営地下鉄は日本最古の公営地下鉄で、1933年に梅田-心斎橋間で開業。ニュートラムを含め9路線計約138キロで1日約238万人が利用する。今里筋線など4路線は経常収支が赤字だ。

 民営化の議論は、経費削減や利用者へのサービス向上を目的に、3代前の関淳一市長時代に始まった。市の試算では民営化後10年間の経常利益は平均290億円で、市営を維持した場合の170億円を上回る。基本方針案では市が100%出資する新会社に路線や職員を引き継ぐ。固定資産税や株の配当などで市は年間約100億円の収入を見込む。

 自民は元々、民営化に反対ではなかったが、橋下徹・前市長の時代に対立を深め、民営化関連議案にも賛成しなかった。しかし「積極的に議論した方が得策」と方針転換し、8月末には吉村市長に12項目の条件付きで基本方針案に賛成する方針を伝えた。

 焦点となる今里筋線延伸(計6.7キロ)は市条例で既に決定しているが、財政難で未着工。2005年には国の補助金支出が見込まれながら、市が財政難で負担分を払えず補助金の要求を取り下げたことがある。自民市議団は、国からの補助金が認められた際、すぐに着工できる姿勢を示す「準備金」と基金を位置づけるという。

 今里筋線は赤字続きで、市の審議会も14年に「採算性がなく延伸は厳しい」と答申。自民の条件提示後、市民から「(基金に)100億円出すなら住民サービスに使うべきだ」などの意見が市に寄せられ、民営化に向けた意見を調整中の公明党市議団の幹部も「着工は困難だ」と言う。それでも自民の黒田當士幹事長は「地下鉄はネットワークとして考えるべきだ。相互乗り入れで他路線に寄与する」と強調する。

 基本方針案は、大阪維新の会(37人)と公明(19人)が賛成すれば市議会(定数86)で可決できる。ただ、民営化には3分の2以上(58人)の賛成が必要な市営地下鉄廃止議案を可決させなければならず、自民(20人)の協力は不可欠だ。

 市は9月議会で基本方針案を可決させ、来年2月議会で廃止議案を提案する方針。可決されると18年4月にも民営化が実現する。【岡崎大輔】

最終更新:9月17日(土)0時49分

毎日新聞