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飴文化の継承目指す「カンロ飴」 ひと粒10分のこだわり

日刊ゲンダイDIGITAL 9月17日(土)9時26分配信

 ひねり個包装された琥珀色のまんまるい飴玉、カンロの「カンロ飴」は、1955年発売のロングセラー商品だ。甘じょっぱい味わいはいつの時代も安定した人気で、累計販売数は50億袋以上にも及ぶ。

 日本人好みのどこか懐かしい甘さを生み出すのは、砂糖と水飴と隠し味のしょうゆ。非常にシンプルだ。

「発売以来ずっとこの味。同じ素材、同じレシピで作っている」(開発本部マーケティング部の寺坂雄介氏)

 飴といえば輸入品を中心にフルーツ味やニッキ味がほとんどだった1950年代。カンロ飴は「日本人の味のふるさとをつくりたい」との思いから誕生した。カギとなるのはオリジナルのしょうゆ。カンロ飴ならではの風味も琥珀色も、専用しょうゆを使ってこそ実現する。

「市販品ではどうしても焦げついてしまう。試行錯誤の末、地元の醸造メーカーと共同で焦げつかないしょうゆを開発した」(寺坂氏)

 約3年がかりで完成した飴玉は54年に「カンロ玉」としてスタートを切り、翌55年に「カンロ飴」となってブレーク。やがて全国的なヒット商品に成長すると、社名も「カンロ」に改称。まさに看板商品となった。

 発売60年を超える商品だけに根強いファンは多い。一方で、若い世代の獲得はつねに課題だ。購買層の高齢化が進む中、本腰を入れたのは2005年。じつは、社内においてカンロ飴は圧倒的な存在ゆえに安心し、積極的な販促をしていない時期があった。そこで50周年を機にコミュニケーション強化に着手。若い世代向けの限定パッケージなどがウケて、90年ごろをピークに減少傾向だった販売数量は徐々に回復へ。そして昨年、60周年を迎えてさらなる強化に乗り出した。

「かつて飴は家庭の常備菓子。そんな日本の飴文化を継承していくため、大人世代の獲得にも力を入れたい。親から子へつながるように、改めて30代、40代の、むかし食べたことがある人たちにファンになってもらうことで、食卓に上る機会が増えていくのではないかと思う」(寺坂氏)

 まずは東京と大阪にある直営店などで、2粒入りの試供品を配布。懐かしいと好評だ。今後はシンプルな素材とまんまるの形状も、もっと積極的にプッシュしていく考え。直径21ミリの大玉は、ひと粒なめ切るのに10分強かかるという。せわしない時代だからこそ、ゆっくり時間をかけて味わうことでほっとひと息。納得のアピールポイントだ。

 さまざまな展開が奏功し、2016年の売り上げも好調に推移している。

最終更新:9月17日(土)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL