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長谷川穂積3階級制覇の秘密 ケガの功名でガード強化

東スポWeb 9/17(土) 16:31配信

 WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ(16日、エディオンアリーナ大阪)、同級5位の長谷川穂積(35=真正)は、王者ウーゴ・ルイス(29=メキシコ)の9回終了後棄権によるTKO勝ちで新王者になり、WBCバンタム&フェザー級に続く3階級制覇を成し遂げた。引退をかけた背水の陣で、日本人最年長世界王座奪取に成功。王者の鼻を叩き折ったミラクル戴冠の裏には、まさかの“ケガの功名”があった。

 気迫がほとばしった。9回終了間際だ。左アッパーにぐらついた長谷川はロープを背負ってルイスの猛攻に耐える。しかし、ここから踏ん張った。ひるむことなく果敢に打ち合い、ついにはルイスをリング中央まで打ち返す。折れない心。止まらない拳。ベテランの大奮闘に、会場は大「穂積コール」に包まれた。

 見せ場をつくって迎えた10回。ルイスは開始の合図を受けてもコーナーのイスから動けず、棄権を申し出た。王者は長谷川の猛ラッシュにより、鼻を複雑骨折したと見られる。夢の3階級制覇は、実に5年5か月ぶりの王座返り咲きだ。

「負ければ引退」を公言していた長谷川は「『負けたら引退』と言う選手は負ける。でも、ボクはこれで勝とうと思った」と胸を張り、“ジンクス”を覆しての勝利に酔いしれた。

 ここまでの道のりは想像以上に険しかった。アクシデントが襲ったのは決戦45日前だ。練習中に左手親指を脱臼骨折し、翌日に手術した。キャリアの集大成を飾る計画は暗転。「試合ができるかわからない状況になったのが一番きつかった」と長谷川は振り返った。

 左でパンチを打てるようになったのは2週間前。痛みがなくなったのは今週に入ってからという強行軍。しかし、この絶体絶命の負傷を長谷川はプラスに変えた。

「完璧な右ストレートのガード。あれは今までなかった。左が使えなかった分、練習をガードのほうに費やした。相手の右ストレートを攻略した」(父の大二郎さん)。まさに“ケガの功名”。崖っ縁で新たな境地を切り開き、精神的にもたくましさを増した。

 世界戦は日本人最多の16度目。何から何まで異例ずくめの長谷川は今後について「正直、何も考えていない」と言葉を濁したが、35歳9か月での快挙に達成感がよぎるのも確かだ。大二郎さんは「次やったら負けますよ。集中力が違うから。3階級も達成してしまった。『今度は守らなあかん』という部分は何もない」と慎重に話した。



 防衛ロードを歩むとなれば指名試合など、今後も強敵相手の「いばらの道」を進むことになる。奇跡を起こした長谷川の「次」はどうなるのか。

最終更新:9/17(土) 16:40

東スポWeb